産業春秋/2015年の「約束」

(2023/8/23 05:00)

東京電力福島第一原子力発電所にたまった「処理水」の海洋放出の日程が決まった。政府は22日の関係閣僚会議で、気象・海象条件に支障がなければ24日に放出することを決めた。処理水の放出は30年以上かかるとされる。廃炉と福島復興に向けた一歩になる。

処理水の海洋放出で焦点だった2015年の「約束」は果たされたのか。政府と東電は「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と地元漁業者と約束していた。

全国漁業協同組合連合会(全漁連)の坂本雅信会長は「約束は破られてはいないが、果たされてもいない」と複雑な心境を語った。廃炉と福島復興の重要性を十分に理解しつつも、風評被害への懸念を払拭できない。

「科学的な安全と社会的な安心は異なる」と坂本会長。中国や韓国・野党は処理水放出に猛反発し、中国は日本産水産物の事実上の輸入規制に動いている。6月に南太平洋18カ国・地域が集った太平洋諸島フォーラムでも懸念が示された。

政府と漁業者の間には溝が残った。政府は水産物の販路拡大と漁業継続のための支援はもとより、「漁業者との意思疎通を継続的に行っていく」(岸田文雄首相)ことで粘り強く地元の理解を得たい。

(2023/8/23 05:00)

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