(2023/9/7 05:00)
6日の東京市場は円安・株高で推移した。円安の進行で輸出関連企業の株価が上昇した。ただ足元の円安は原油高騰によるインフレ懸念が背景にあり、輸入物価を押し上げかねない。政府は7日からガソリン価格を抑える新たな激変緩和措置を年末まで発動するものの、年末以降も原油価格の高止まりが継続する可能性を拭えない。財政負担を伴う補助金はいつまでも続けられず、年末以降は低所得者などに対象を絞った物価高対策を模索し、中長期的には成長投資の推進で円の実力を高めたい。
6日の東京株式市場の日経平均株価は続伸し、約1カ月ぶりに3万3000円台を回復した前日の終値を上回った。円安による輸出関連企業の業績上振れが期待されたことは、日本経済にとってプラスの材料だった。
だが、この円安はサウジアラビアとロシアが原油の追加的な自主減産を決め、5日の米国産標準油種(WTI)が一時1バレル=88ドルと約10カ月ぶり高値を付けたのが発端。インフレ懸念から米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めが長期化すると見込み、米長期金利が上昇したことによる。日米金利差の拡大による円安の進行が輸入物価に及ぼす影響に警戒したい。
6日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=147円台前半から後半の円安で推移。政府・日銀が2022年9月に介入した際の同145円台より円安だ。財務省の神田真人財務官は同日、為替介入を示唆する「口先介入」を行ったが、効果は限定的だった。仮に実際の介入に動いても、22年9月の際は数日で介入時の円相場に戻っていた。貿易黒字幅を拡大する成長投資を促し、円の国際競争力を高めておくことが求められる。
政府は7日から新たな激変緩和措置を発動し、9月末に期限を迎えるガソリン補助金を年末まで延長・拡充する。22年1月に始まった補助金は5回の延長を繰り返す。富裕層にも恩恵が及ぶ補助金は財政的にいつまでも継続できない。脱炭素にも逆行する補助金を仮に年末以降も継続する場合、低所得者や運輸業などに対象を絞りたい。
(2023/9/7 05:00)
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