産業春秋／ロケットも処理水も根拠は科学

三菱重工業と宇宙航空研究開発機構（ＪＡＸＡ）は７日、日本初の月面着陸を目指す小型探査機などを搭載した「Ｈ２Ａロケット４７号機」の打ち上げに成功した。探査機「ＳＬＩＭ（スリム）」は２０２４年１―２月にも月面着陸に挑む。

月面着陸に成功すれば旧ソ連、米国、中国、インドに続く５カ国目の偉業になる。３月に次期基幹ロケット「Ｈ３ロケット初号機」の打ち上げに失敗したが、今回の成功で宇宙開発の再スタートに弾みを付けたい。月探査や天体の進化の解明など、ミッションの円滑な実現を祈る。

「月にはウサギが住んでいる」。日本や中国では、月の陰影がウサギに見えると言い伝えられてきた。欧米では女性の横顔、国によってはカニや犬など見え方はさまざまだという。

月のウサギは同じように見えるのに、「処理水」は全く違うものに映っているようだ。６日に行われた日中韓と東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）首脳会議。この日も中国には処理水が「核汚染水」に見えていた。

ＡＳＥＡＮには中国との結び付きが強く、中立を保つ国が多い。日本は科学的根拠に基づく安全性を粘り強く中国とＡＳＥＡＮに訴えたい。ロケットも処理水も根拠は科学である。