(2023/9/19 05:00)
タック(愛知県あま市、多々良師孝社長)は、大手の自動車関連メーカーを中心に、産業用ロボットを活用した生産システムの初期検討から製作・設置、保守までのサービスを一貫して提供するロボットシステムインテグレーター(SIer)だ。
「特に強みとするのは初期検討」と松田剛統括本部部長は語る。顧客との打ち合わせをもとに、求められているニーズを実現するのに最適なロボットを選択して調達したり、その領域を得意とする協力会社に設計や製作などを発注したりする。システム構築にかかる業務をすべて自社で抱えるのではなく、外注も適度に活用することで、コストを抑えつつ、需要変動に強い体制を敷いている。
こうした調整力の裏付けとなるのが、ロボットの配置や動きを事前に検証できるソフトウエアを活用したシミュレーション技術。「どのメーカーのロボットでもシミュレーションできるソフトを使い、精度の高い初期検討ができる」(松田部長)。
同社は祖業がロボットの商社で、現在もロボットの単体販売を手がける。それもSIerとしての強みだ。特約店としてロボットメーカーと直接取引ができるため、ロボットの一括発注が可能。顧客が大手の場合は、ロボットの調達価格を抑えるため、顧客が抱える生産技術の人員がロボットを大量購入して、SIerに支給することもあるが、「我々だとそうした手間がいらないので、生産技術の工数が削減できる」(同)。
これらの強みをもとに、車体の溶接システムの構築などで実績を重ねてきたが、2023年から新規顧客の開拓に向けた新たな試みとして「パッケージ販売」を本格化させた。
従来は人手で作業をまかなっていた小規模の工場でも、人手不足からロボットの活用を模索する動きが生じており、同社への引き合いも増えているという。そこで「アーク溶接」「プラズマ切断」など、用途に応じて必要なロボットと周辺機器をそろえてパッケージ化したメニューを用意。ロボット活用に慣れていない新規顧客への提案のきっかけ作りにしている。
【企業概要】▽所在地=愛知県あま市下萱津替地1071の2▽資本金=1700万円▽売上高=約30億円(23年8月期見込み)▽従業員=26人▽設立=91年(平3)2月
(2023/9/19 05:00)