産業春秋/今年の秋は「赤」が流行る?

(2023/9/22 05:00)

ファッションは時代を映す。2023年秋冬のトレンドカラーの一つは、生命力や前向きなエネルギーを象徴する「赤」。コロナ禍を経て社会がかつての姿を取り戻す中、躍動したいという消費者心理を体現しているようだ。

流行色は「いま」の社会の空気感を反映していると思いきや、シーズンの2年前から検討が始まっている。日本を含む加盟各国が提案色を持ち寄り、国際機関が選定する。その方向性は、各国の商品企画や販売戦略を左右する。

2年前といえばパンデミック(感染爆発)の真っただ中。提案、決議の裏には、世界は危機を乗り越え再び成長軌道に回帰するとの確信があったのか。ファッション業界では景気が上向くと明るい色が好まれるとされる。日本でもバブル時代には鮮やかなボディコンファッションが街を彩った。

そして23年。世界経済の先行きは危うい。原油高騰でインフレ再燃が懸念される米国経済に不透明感が漂う。欧州、中でもドイツは景気後退しかねない。ユーロ圏は総じて低成長が続く見通しだ。

自分らしい装いを重視する人が増え、流行色のインパクトはかつてよりも薄れつつある。だが経済に限れば「赤」のジンクスは歓迎だろう。

(2023/9/22 05:00)

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