産業春秋/統合報告書から伝わる思い

(2023/9/28 05:00)

3月期決算企業の2023年版統合報告書が発行されている。いくつかウェブ版をめくると、年を追うごとに表現が洗練されている。経営陣の画像も硬さがとれて笑顔が親しみやすい。投資家はトップのメッセージに最も注目しているとの調査もある。

発行する目的は企業のサステナビリティーを示し、投資を呼び込むこと。発行は任意だが、年々100社単位で増え、22年末に800社超に。

統合報告書は財務情報だけでは読み取れない企業の実態を非財務情報とともに記載し、中長期的な成長性を示す。併せて経営上のリスクを記すことが必須となる。コロナ禍が明けても、ウクライナ情勢や地政学的リスクの高まりなど課題は山積する。

企業はどのような姿勢で統合報告書をまとめるのか。年金積立金管理運用独立行政法人が毎年2月に発表する「国内株式運用機関が選ぶ優れた統合報告書」を見ると、傾向が読み取れる。ポイントは一貫性・実効性を分かりやすく表現し、共感を獲得することのよう。

制作には企業の各部門の連携が必要とされる。IR責任者が誌面の編集・デザインからすべて行っている上場企業もある。統合報告書からはそんな社員たちの思いも伝わってくる。

(2023/9/28 05:00)

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