(2023/10/3 17:00)
2023年のノーベル生理学・医学賞は、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン開発につながる基礎研究で、独ビオンテック上級副社長(米ペンシルベニア大学特任教授)のカタリン・カリコ博士(68)、米ペンシルベニア大学のドリュー・ワイスマン博士(64)の2氏に決まった。国内外からお祝いの声が寄せられている。
京都大学・山中伸弥教授 画期的な発明、多くの人救う
12年にノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授(61)は「カリコ先生、受賞おめでとうございます。対談の機会をいただいた際に、非常に謙虚な姿勢で粘り強く研究を進めてきたことをうかがい、心から尊敬の念を抱いた。コロナ禍という世の中が危機感に覆われた中、mRNAワクチン技術という画期的な発明により多くの人が救われた。その業績に心から敬意を表す」と短文投稿サイト「X」(旧ツイッター)に祝辞を投稿した。
大阪大学・審良静男特任教授 粘り強い姿勢から勇気
大阪大学先端モダリティ・ドラッグデリバリーシステム研究センターの審良(あきら)静男特任教授(70)はカリコ博士らの論文を過去に査読した経験を踏まえ「同氏と共同研究者の信念と粘り強い姿勢は多くの基礎生命科学者に勇気を与えた。ともに喜びたいと思う」とした上で「カリコ氏は地道に基礎データを積み上げて20年をかけて新型コロナウイルス感染症ワクチンという形に結実させた」とたたえた。
独ビオンテック 誇りに思う
カリコ博士が上級副社長を務める独ビオンテックは、「彼らの情熱、粘り強さ、そして献身を高く評価します。ノーベル賞は、世界中の科学者が新しい薬の可能性を最大限に引き出すという大きな志を持って厳格な研究開発に取り組み続けることを思い出させるものだ」と声明を発表した。また同社のヘルマット・ジェグル監査委員会会長は「ビオンテックが、カリコ氏がmRNAをさらに進歩させるための研究拠点だったことを誇りに思う」とした。
神戸天然物化学 新しいモダリティーに対応
神戸天然物化学は「mRNAは新型コロナウイルス感染症で、有用性を示した面白い領域。当社は(感染症パンデミック発生に備える)広島大学の『PSI GMP教育研究センター』に参画している。またmRNAの鋳型となるプラスミドも製造できる。バイオテクノロジーで新しいモダリティーに対応していきたい」とコメントした。
(2023/10/3 17:00)
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