【早読み特選】ノーベル物理学賞に「アト秒パルスレーザーの実現」 米欧3氏に

(2023/10/3 20:00)

スウェーデン王立科学アカデミーは3日、2023年ノーベル物理学賞をスウェーデンのルンド大学のアンヌ・ルイエ教授(65)と米オハイオ州立大学のピエール・アゴスティーニ名誉教授、独ルートヴィヒ・マクシミリアン大学のフェレンツ・クラウス教授(61)に贈ると発表した。受賞理由は「アト秒パルスレーザーの実現」。アト秒(アトは100京分の1)レーザーによって、物質中の電子の動きを観察できるようになった。

12月10日にはストックホルムで授賞式を行う。賞金として1100万スウェーデンクローナ(約1億5000万円)が贈られる。

ルイエ教授は、強い赤外線のレーザーを気体に照射すると、より波長の短い光が発生する現象を発見した。これは高次高調波と呼ばれ、同原理を利用してパルスレーザーの幅を短縮できる。

ピエール教授とクラウス教授は実際にアト秒のパルスレーザーを実現。ピエール教授はパルス幅250アト秒の連続パルス源、クラウス教授は650アト秒の単一パルス源を実現した。固体や液体など、物質中の電子の動きを観察できる。これらの手法が確立されたことで、材料開発などに生かせると期待できる。

アト秒物理学を研究する早稲田大学の新倉弘倫教授は「電子の量子的な性質の測定や、アト秒領域の新たな物質科学・量子科学の展開につながった」と説明した。

(2023/10/3 20:00)

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