(2023/10/6 05:00)
米長期金利の動向を注視したい。高水準の金利が継続ないしさらに上昇すれば為替相場は円安が進行しかねず、日本は輸入物価の上昇が懸念される。政府が月内に策定する経済対策の効果が薄れる可能性もあり、どこまで2023年度補正予算案が膨張するかが焦点になる。財政規律に配慮し、費用対効果を見極めた経済対策を求めたい。
底堅い米国経済と、米国財政への信認低下という矛盾したような二つの要素が、米長期金利の上昇圧力としてくすぶっている。堅調な経済は米労働市場を逼迫(ひっぱく)させる懸念がつきまとい、高水準の政策金利が長期化すると市場は見立てている。
一方、10月からの新会計年度の政府予算案は可決・成立のめどが立っておらず、米議会の混乱により債券価格は下落(長期金利の上昇)に傾きやすい。
野党・共和党の下院議長は政府機関の閉鎖回避に向けて「つなぎ予算案」をまとめたものの、財政健全化を重視する共和党の保守強硬派が反発。大幅な歳出削減が盛り込まれなかったとし、議長の解任動議が可決される事態に至った。3日(現地時間)に約16年ぶりに4・8%台を付けた米長期金利は4日に一服したものの、5%が視野に入る。与野党は空転する議会を早期に正常化し、米国および世界経済への影響を最小限にとどめることが求められる。
円ドル相場は、日米の金利差や日本の貿易赤字を背景に円安基調で推移している。3日に一時1ドル=150円台に突入した円相場は、5日の東京市場では同148円台とやや円高に戻した。政府・日銀が3日に円買いの為替介入を行ったとの観測があり、介入への警戒感などが背景にあるとみられる。政府・日銀は今後も適切な政策運営により、輸入物価の上昇を抑える役割を担ってもらいたい。
米国の長期金利の変動で金融市場が揺さぶられる中、10月に打ち出す経済対策の膨張論を後押ししかねない。対策の効果が薄れることなく、デフレ脱却への歩みをいかに進めるのか。財政健全化に配慮しつつ確かな道筋を示せるかを注視したい。
(2023/10/6 05:00)
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