(2023/10/16 12:00)
足場の悪い不整地で走行可能
CuboRex(キューボレックス、東京都葛飾区、嘉数正人社長)は、クローラロボット開発プラットフォーム(基盤)「CuGo」と、運搬用の1輪車を電動化する「E―cat kit2」を開発・提供するスタートアップ。農地や建設現場など足場の悪い不整地での走行が可能だ。きつい肉体労働をアシストするため、人材不足の問題解消や省力化の観点から注目される。「特定の業界に特化した製品開発を切り口に販売を拡大する」(嘉数社長)と日々奮闘する。
「CuGo」シリーズは、ソフトウエアとハードウエアを合わせたクローラロボット開発プラットフォーム。無線受信機を使って走行する機種や、プログラミングすると自動走行が可能な機種があり、最大積載量は80キロ―350キログラムに対応する。作業者による活動が困難な不整地で荷物の運搬作業などを担う。「足場の悪い建設現場や、果実園での収穫などに使われる」(嘉数社長)という。
同製品の最大の特徴は「さまざまなロボットとカスタマイズ(個別対応)できること」(同)。顧客である企業や大学は同プラットフォームを利用することで、ロボット開発時間の短縮やコスト低減が可能となり、足回り以外の開発に注力できる。
「E―cat kit2」は取付式の電動アシストタイヤキット。既存の1輪車や手押し車のタイヤを交換し、アクセルレバーを取り付けることで電動化が可能だ。ハンドルのレバーを握ると、引っ張られるような感覚で前進する。運搬の労力や時間の半減といった省力化が図れる。
同キットは建設現場の運搬作業のほか、和歌山県などのミカン農家で700台以上が採用されている。ミカンは枝や落ちた実が重なった山の斜面など足場の悪いところで栽培する。そのため、段差も楽々と乗り越えられ、運搬をアシストしてくれる同キットの評判は高い。「多くのミカン農家さんに使ってもらっている。JAでも販売しているため売り上げは好調」(同)だ。
CuboRexの製品が建設現場や農地といった特定の場所で好評な理由は「ニーズのくみ取りに労力やコストをかけている」(同)ことにある。顧客から製品開発を求められた際、遠方でも使用予定現場を社員が実際に訪れることで、ニーズと課題を正確に把握している。また、通常はロボット開発から商品化まで3年程度かかるが、「当社は1年半でできる」(同)とスピード感を併せ持つのも大きな強みだ。
今後は「業界特化型」の製品開発に注力する。大手企業と協業し、足回りロボットプラットフォームと電動台車を2024年度内に発売予定。時間外労働の上限規制が適用される「24年問題」の中心課題である人材不足の解消を目指し、物流業界への参入も狙う。「ニッチでも、その業界になくてはならない製品を作りたい」(同)と目標を掲げる。
(2023/10/16 12:00)
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