(2023/10/16 12:00)
工作機械は気温の変化、機械自体の発熱、加工時の摩擦熱などで微妙に膨張し収縮する。この変化を察知し制御装置の加工指示に反映するのが熱変位補正装置だ。エムシー技研(岐阜県各務原市、中平真一社長)は同装置のパイオニア。25年の実績を持つ。
創業者の中平社長は工作機械メーカーで開発に従事した後に独立した。海外で目にした熱変位補正装置を独自に開発。外部機関の技術賞も受賞し、1998年にエムシー技研を設立した。熱変位補正の概念を啓発しながら市場を開拓した経験知が強みだ。
現在、機械加工を省人化・自動化する観点から熱変位補正への理解が広がり、大手工作機械メーカーは独自に技術を開発する。エムシー技研は信頼関係を築いた中堅メーカー数社を主要な顧客とし、機種別に最適化した製品を提供。機種によっては標準仕様にも採用され、年間2000台程度を販売する。
最新版「ステルスアルティマⅡS8」は2020年7月に発売した。プラスマイナス0.05度Cの高精度温度センサーを採用。マイナス10―プラス70度Cの広い温度域で利用できる。手のひらサイズ、292グラムと小型・軽量で制御装置に内蔵しやすい。メーカー側でも個別機種向けの設定が容易。消費税抜きで4万円の低価格も特徴で、後付け用も提供する。
22年6月には本社近隣に実証施設「エムシー・ラボ」を完成、客先の工作機械を購入し、自社でのデータ収集・検証を可能にした。23年4月に研究を開始。「工作機械の熱変位には、いまだ分からないことがたくさんある。その因果関係を明らかにし、さらに高度な補正技術を提案したい」と中平孝一専務は意気込む。
特に高精度の加工では、室内を空調で恒温状態にするのが一般的だった。しかし二酸化炭素(CO2)排出量削減や空調費抑制は不可避。熱変位補正への関心はより高まっている。「取引がなかった工作機械メーカーからも引き合いが来ている」と中平専務。「今後も熱変位補正の先駆けでいたい」と展望する。
(2023/10/16 12:00)
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