(2023/10/18 05:00)
全米自動車労働組合(UAW)が「ビッグスリー」のストライキを開始して1カ月が経過した。高い賃上げ要求の背景には、ガソリン車より部品点数が少ない電気自動車(EV)普及に伴う雇用縮小への不安があるとされる。日本の自動車関連業も同様の不安を抱える企業が少なくない。経済産業省は電動化部品の製造に挑戦する企業への支援策などを講じている。こうした政府の支援なども利用し、円滑な事業再構築を進めたい。
帝国データバンクによると、EVの普及が自社に「マイナスの影響」と受け止める日本の自動車関連業は5割近くに達する。EVは部品点数がガソリン車の1割程度とされ、受注減を警戒する。ただ自動車関連業の4割超がEV事業に参入済みか参入を予定し、EV関連への事業拡大で収益を安定化させようとする動きがみられるという。
経産省は、電動車部品の製造などを試みる企業を支援する「ミカタプロジェクト」を展開している。研修や専門家による個別相談に応じるほか、設備投資補助などを行っており、円滑な事業の再構築に利用したい。
国際エネルギー機関(IEA)によると2022年の新車販売のEV(電気自動車とプラグインハイブリッド車)比率は世界の14%に対し、日本は3%。日本の出遅れが懸念されるが、ここにきて米欧でEV普及が減速しかねない動きが相次ぐ。
バイデン米大統領は24年の大統領選を見据え、スト中のUAWへの支持を表明。高い賃上げが実現すればビッグスリーの収益を悪化させ、EV化への設備投資計画が後退しかねない。英国はガソリン車の新車販売禁止の時期を30年から35年に5年延期した。25年1月までに総選挙を控え、高額なEVの購入は促しにくい。欧州連合(EU)は35年に全廃するエンジン搭載車から合成燃料車を除いている。
日系メーカーはEVで世界との差を縮めたい。全固体電池の実用化・量産技術などで世界をリードしつつ、日系の自動車関連業は時間的猶予を最大限に活用して、事業再構築を円滑に進めることが求められる。
(2023/10/18 05:00)
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