産業春秋／「Canon EXPO」もう一つの狙い

パシフィコ横浜（横浜市西区）で行われたキヤノンの製品・技術展示会「Ｃａｎｏｎ　ＥＸＰＯ（キヤノンエキスポ）２０２３」は１９、２０の両日に約２万人を集める盛況となった。技術を社外にアピールする目的を果たすとともに、もう一つの成果があった。それはブランディング。

開催はコロナ禍による延期が重なり８年ぶり。２０１０年に商業印刷、１５年に監視カメラ、１６年に医療機器会社を相次いで買収したことで、各事業がサイロ化している。

そうした中で今回は、社外との協業を加速することを目指し、新たに加わった事業も合わせて固有の要素技術を前面に打ち出した。これが、社員が互いを知る好機となった。

ブランディングの仕掛けもあった。１９、２０日は一般公開終了後の２時間、首都圏の理工系学生を中心に来場を受け付けた。２４年度入社予定の学生の内定式も会場で行った。

２１、２２日の土日にはファミリーデーを設けた。社員が家族とともに訪れ、普段目に触れることの少ない製品や技術の中身まで説明する。仕事に対する家族の理解が深まることで社員のモチベーションは上がる。学生と社員に向けたブランディングは展示会の成果を倍加したのではないか。