(2023/10/23 17:00)
第212臨時国会が20日召集され、岸田文雄首相は23日に衆参両院本会議で所信表明演説を行った。「私の頭に今あるものは『変化の流れを絶対に逃さない、つかみ取る』の一点だ」と強調した。その上で「私は何よりも経済に重点を置いていく」と訴えた。日本経済が30年ぶりに新たな経済ステージに移行するチャンスがめぐってきていることを踏まえ、変革を進めるために特に経済対策に力を入れる考えを示した。
岸田首相は「変革を力強く進める『供給力の強化』と不安定な足元を固め、物価高を乗り越える『国民への還元』の二つを車の両輪として総合経済対策を取りまとめ、実行していく」と表明した。経済対策の財源の裏付けとなる補正予算案を編成し、臨時国会に提出する。
経済対策では「GDPギャップ(需給ギャップ)が解消に向かう中、供給力の強化のための対策に軸足を移す」と強調し、3年程度を「変革期間」として、供給力強化の施策をその呼び水にする考えを示した。半導体や脱炭素など安全保障関係の大型投資の支援や賃上げ税制の強化、戦略物資に初期投資だけでなく投資全体の予見可能性を向上させる過去に例のない投資減税などの措置を講じる考えだ。
国民への還元をめぐっては「デフレ完全脱却のための一時的緩和措置として、成長による税収の増収分の一部を公正かつ適正に還元し、物価高による国民の負担を緩和する」と述べた。その上で「還元措置の具体化に向けて、与党の税制調査会における早急な検討を指示する」とした。期限付き所得税減税の検討が念頭にあるとみられる。
一方、人口減少対策として、「地域交通の担い手不足や移動の足の不足といった深刻な社会問題に対応しつつ、ライドシェアの課題に取り組む」と表明した。また、地方創生では「地方創生を支える中核は地域の中小・小規模事業者だ」と強調し、「持続的な賃上げが可能となるよう、省人化投資やデジタル投資の支援、賃上げ費用の転嫁対策を強力に進める」と語った。
(2023/10/23 17:00)
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