(2023/11/7 05:00)
イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突から1カ月となる7、8の両日、先進7カ国(G7)外相会合が都内で開かれる。紛争の早期沈静化が主要議題になる。イスラエル支持の米国は、人道目的での軍事衝突の「中断」は容認するものの「即時停戦」には反対する。中東での紛争が長期化しかねず、世界経済への影響も懸念される。今回の外相会合はG7の存在感が問われ、声明を注視したい。
他方、国際社会の目線が中東に集中すれば、ウクライナに侵攻するロシアや軍事的威圧を強める中国を利することになる。G7はウクライナへの軍事支援や対中外交での連携強化も確認し、国際秩序を堅持したい。
イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザ市を包囲。地上作戦で約2500カ所のハマスの拠点を攻撃した。ハマスの地下トンネルを狙った攻撃は病院や難民キャンプなどを直撃し、死者は4日時点で1万人に迫る。ハマスの奇襲攻撃や民間人の誘拐は断じて許されない。だが国際社会はイスラエルの過剰防衛を非難し、世界各地で大規模デモが行われたことも看過できない。
国連が10月に採択した「人道的休戦」決議案では米国など14カ国が反対、フランスなど120カ国が賛成、日英独などが棄権とG7は一枚岩でなかった。
米国が即時停戦に反対なのは、ハマスが態勢を立て直し再び攻撃を強める可能性があるためだ。だが国際社会のイスラエル非難の高まりを受け、ブリンケン米国務長官はイスラエルのネタニヤフ首相に対し攻撃の「中断」を働きかけるなど外交の修正を余儀なくされている。
合意には至っていないが、米国はイスラエルに自制を促し続けてもらいたい。紛争を早期に沈静化し、アラブ諸国の米国への不満を抑える必要がある。
日本はイスラエル、パレスチナとも関係は良好で、双方が共存する「2国家解決」を支持する。独自の立ち位置でG7会合を議長国として主導し、人道危機回避への道を探ってもらいたい。紛争の早期沈静化により、世界経済に及ぼす影響を最小限にとどめることも求められる。
(2023/11/7 05:00)
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