(2023/11/7 12:00)
日本ガイシは家庭と仕事を両立できる働き方の整備に注力している。出生時用の特別有給休暇などを整えたり、手に取りやすいハンドブックを配布したりといった工夫が功を奏し、男性が育児のために取得する休暇取得率は9割ほどと高い。社外取締役が従業員向けの講演会を開くなどして、家庭と仕事の両立が当たり前となる社内文化となっている。経営層による継続的な訴えかけこそが、働き方改革の実現に結びつく。
日本ガイシが育児と仕事の両立に向けた取り組みを促進し始めたのは2009年ごろで、育児・介護休業法が改正されたタイミングだ。積み立てた有給休暇を使って仕事を休めるようにした。「世の中が男性育休の取得を促進するよりも前から、取得できるようにした」(人事部担当者)。現在では出生時に使える5日間の特別有給休暇を付与したり、勤務時間を短くできたりする制度設計がされている。
厚生労働省が22年に実施した「雇用均等基本調査」によると男性の育休取得率は製造業で18・6%。一方、日本ガイシでは2週間以上の育休の取得者は5―6割、出産に伴う休暇制度の利用まで含めると9割以上が取得している。「『部下が育休を取得してくれないが、どうしたら良いか』と相談が来るほど」(人事部の高橋伸治グループマネージャー)男性育休が社内の文化として浸透している。
「男性の育休は取得することが当たり前ですよ」。社外取締役の浜田恵美子氏による役員や管理職向けに開く講演会「浜田塾」の一幕だ。かつては社外から招いた講師による講演会を開いていたが「あまり響かなかった」(人事部担当者)という背景もあり、経営層が語りかける形式に変えた。「日本ガイシのことをよく知っている役員だからこそ、やらなくてはという気持ちになる」(同)という狙いだ。女性活躍の推進など講演テーマを変えるなどして、社内の働き方改革に向けた機運醸成を図っている。
社内で共有しているハンドブックも機運を高める手段の一つだ。育休や短時間勤務制度のほか育児を支援する社内制度を解説している。出産前や復職前には所属長などとの面談も用意し、両立しやすい体制構築を進めている。介護との両立にも注力。「問い合わせが増えてきている」(同)との声を受け、会社としての制度や公的支援の仕組みを整理した冊子も用意した。
家庭と仕事を両立することが当たり前の社内文化が広がることで、製造現場における運営体制のあり方を模索することが課題となりそうだ。現在は個別に対応しており、夜間の勤務を一時的に昼間に変更するなどして調整している。工場や部署内で同時に取得する人が少ないため、現場で調整することで対応できている。
だが、男性育休や介護休暇が活発となった時に持続的に製造現場を運営できる体制のあり方は検討中の課題となっている。乗り越えた先には家庭と仕事を両立しやすい製造業の姿が見えてきそうだ。
(2023/11/7 12:00)
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