(2023/11/14 12:00)
出産やパートナーの転勤、親の介護などに伴う移住によって退職を余儀なくされる人は多い。ただ移住先で働こうとしても希望する求人がなく、わずかな求人に応募が殺到して思うように再就職ができない事例も数多い。こうした課題に対応するため、エン・ジャパンはリモート勤務制度を活用。地方の優秀人材を契約社員として積極的に採用している。
新型コロナが全国で感染し始めた2020年3月、エン・ジャパンは業界に先駆けて社員は原則リモート勤務とし、バーチャルオフィスを導入した。その後、業務拡大に伴う人員増強のため21年春に営業事務(アシスタント)のオンライン採用を開始。アシスタントの仕事自体もフルリモートでできるよう業務を切り出し、環境を整えた。
本社がある東京都新宿区は企業が多く、以前から人材獲得激戦区だった。このため、アシスタントを採用できても、事務職未経験者が大半だった。フルリモート勤務が可能になったことで「スキルの高い経験者を採用できるようになった。業務の改善策を提案してくれるレベルの人もおり、業務効率が上がった」(小笹亜未人財戦略室チームリーダー)。
フルリモートに加えて週1や月1出社の職種も増やすと、都内だけでなく全国から優秀な人材の応募が増えた。「職種によっては応募数が10倍ほどになった」(同)という。
結果、家庭の事情など働く時間に制約のある人の雇用数が増え、これまで累計数百人規模で採用してきた。こうした人たちが配属された各部門からは、「即戦力となる人材が来てくれた」と歓迎の声が届いている。契約社員の勤務は最大4年で、その間にスキルアップを図り、新たな仕事につなげる人も多数いる。
長野県在住でフルリモートのサポートスタッフ職として働く清住朋香さんは「時間ロスが少なく、非常に働きやすい」と高く評価する。元会社員で、夫の転勤に帯同して複数の地方都市を転々としてきた。「小さい子の子育て中だが、社会復帰してキャリアを伸ばしたい」(清住さん)思いはあったが、希望する仕事が見つからない状況だった。そんな時に、子育てとの両立がしやすいエン・ジャパンの募集を知り応募した。
自宅での勤務は「即座に母親スイッチへ切り替えられるので時間ロスが少ない。コロナ禍で頻繁に発生した学級閉鎖中でも、子どもの体調を優先させながら通常勤務ができる」(同)利点がある。
リモート勤務で課題となる社員同士の交流不足には、バーチャルオフィスなどのコミュニケーションツールを導入して対応。「心細さなどを一切感じずに働けている」(同)という。
今後について小笹リーダーは「当社で蓄積したオンラインノウハウを、リモートワーク推進に課題を抱える企業に役立ててもらえるよう、成功事例として伝えていきたい」と考えている。
(2023/11/14 12:00)
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