産業春秋/少子化対策の財源、国債依存は回避を

(2023/11/14 05:00)

少子化対策の財源をどうするか。2024―26年度に追加で必要な年3・5兆円の財源は社会保障費の歳出削減、社会保険料の上乗せによる支援制度の創設で捻出し、不足分は「こども特例公債」で賄うという。

少子化対策基本法が施行されて20年。異次元の対策でようやく本格的な取り組みが始まる。肝心の財源について、岸田文雄首相は早々に消費増税を封印した。28年度までに安定財源を果たして確保できるのか心配だ。

人口1億人をいかに維持するか。国際経済交流財団の日本の人口問題についての研究会が提言をまとめた。人口減少問題解決のため、子育ての負担減とともに労働機会と労働力を増やす政策を列挙している。

日本は1995年から、15―64歳の生産年齢人口が減り続けている。高齢者や女性、外国人を活用しなければ、少子化対策以前に社会・経済は維持できなくなる。

少子化対策には個々で受け止め方に温度差があるが、人口問題と捉えれば方向性は一致しよう。問題は財源だ。23年度補正予算案の財源は約7割を国債に依存し、国民に還元する所得減税も国債頼みとなりそう。児孫に美田を残さずと言うが、国の借金を残す財政運営は厳に慎みたい。

(2023/11/14 05:00)

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