人と生きる ロボット新時代(14)不二越執行役員ロボット事業部長・中村成利氏

(2023/11/27 05:00)

高性能かつ安全で差別化

―「2023国際ロボット展」の出展の目玉は。

「協働ロボットや小型ロボットに独自の視覚制御技術を用いて、従来は自動化が困難だったフレキシブルプリント基板(FPC)コネクターなど軟体部品の搬送からネジ締め、コネクター挿入、組み付け、検査を自動化したアプリケーションを披露する。電子基板業界の顧客向けには専用開発のロボットによる基板のラック収納を紹介する。自動化の具体的な姿を想像しやすいように工夫した」

―9月に協働ロボットの新型機「CMZ05」を投入しました。

「当社の産業用ロボットの主力製品『MZシリーズ』をベースに開発した。MZシリーズで積み上げた動作速度や精度を踏襲しており、信頼性が高い協働ロボットとして紹介する。CMZ05の可搬重量は5キログラムだが、さらに高可搬の機種拡充を進めており、今回は同12キログラムの機種を参考出展する」

―協働ロボット市場をどう攻略しますか。

「製造業を取り巻く人手不足は深刻だが、無人化ラインの構築は簡単ではない。協働ロボットに興味を持つ人は増えている。協働ロボット市場では、産業用ロボットをベースとした高性能かつ安全で、生産性を確実に担保できるロボットで差別化したい」

―ロボット事業拡大に向けて、どういった点を訴求しますか。

「当社はロボット単体ではなく、ソリューションとして提案できる強みがある。CMZ05や基板搬送ロボットなど、顧客のやりたいことや困っていることをロボット開発に反映してきた。今後、自動車はさらに電子化が進むとみており、現在主力の小型、中型ロボットの需要はますます伸びると考えている」

―ロボットを初めて扱う顧客も多いです。

「ティーチングレスや遠隔操作といった使いやすさに加え、人工知能(AI)を使った自律型のロボットを提供する。本体、アプリケーション、システムの三位一体の開発を継続的に進める方針だ」

―「課題解決型技術」として期待されるロボットが未来の社会に果たせる役割とは。

「ロボットは豊かな社会作りに貢献できる。例えばロボットを軸とする当社の自動化システムで顧客の生産性が上がれば利益拡大につながる。最終的に顧客の会社で働く従業員の豊かな生活にも間接的に寄与できる。こうした好循環を生み出せる入り口こそロボット技術だ」(増重直樹)

*取材はオンラインで実施。写真は不二越提供

(2023/11/27 05:00)

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