人と生きる ロボット新時代(16)安川電機上席執行役員・岡久学氏

(2023/11/28 05:00)

自律生産、リアルさ追求

―「2023国際ロボット展」の見どころは。

「リアリティーの追求に力を入れた。生産現場の自動化コンセプト『アイキューブメカトロニクス』によるモノづくりが、いよいよ実践・実装できる形であることを見せる。新型自律ロボット『MOTOMAN NEXT(モートマンネクスト)』でも、来場者が生産現場での具体的な導入イメージをつかめるようにする」

―モートマンネクストの導入効果は。

「人の判断が求められたり、加工対象物(ワーク)の種類が多くティーチング変更に膨大な手間がかかるなど、従来は自動化が困難と考えられた現場への一つのアプローチとなる。さまざまな判断ができるため、作業中に発生した環境変化に対応しながら作業を継続できる」

―これまでの産業用ロボットの延長線ではない点も特徴としています。

「パートナーが持つ知見を盛り込めるアーキテクチャー(設計概念)も特徴の一つ。顧客が実現したいコトに対する機能を開発できる。コトの実現にこだわり開発した機能は横展開される可能性が高い。エコシステムを形成するオープンプラットフォーム(基盤)を目指したい」

―米国市場の本格開拓に乗り出します。

「人件費の高騰などで自動化に対する潜在的需要が大きいことに加え、さまざまな変化が世界に先んじて生じやすい。例えば電気自動車(EV)の車体構造を一体成形する工法『ギガキャスト』も米テスラが始めた。こうした従来の延長線上でない発想をいち早く実践する国だ。当社として顧客が実現したいコトに対する理解を早め、それを実現する提案を強化する」

―EVシフトの影響は。

「EVシフトによる変化の一つは車のサプライチェーン(供給網)だ。スマートフォン部品メーカーが自動車の1次、2次部品メーカーに位置付けられることも起こる。ただ、供給網の変化を見ながら営業活動するという行動自体は変わらない」

―ロボットの一層の普及にはどのような観点が必要ですか。

「簡単に使えるという観点は強く意識して開発している。協働ロボットはその一つで安全柵の設置が不要な分、エンジニアリングも簡単になる。『Easy to Use』の視点が向上した協働ロボットなども今回展示する」(増重直樹)

*取材はオンラインで実施。写真は23年6月に撮影したものを使用

(2023/11/28 05:00)

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