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(2023/11/28 05:00)
ヒト型双腕、実用性高める
―ロボットの需要動向をどう見ていますか。
「制御機械カンパニーの受注高の半分弱を占める産業用ロボットのうち、海外の主戦場である中国で2022年10月以降、スマートフォン関連を中心に需要低迷の影響を受けている。地政学リスクなどいろいろな要因が複雑に絡んでおり、回復時期を見通すことは難しい。一方で、国内は底堅い自動化需要を背景に堅調に推移している」
―ロボットを使ったシステムエンジニアリングを強化しています。
「当社は射出成形機、ダイカストマシン、押出成形機、工作機械などを手がけ、機械単体だけでなく生産ラインとしても納めている。制御機械事業はロボットを動かす技術と機械や装置を制御する技術が強み。例えば顧客の現場を理解した上で、射出成形機とロボットの制御ノウハウを融合して最適なシステムを構築する。人手不足などの課題を解決することで付加価値を提供したいと考えている」
―「2023国際ロボット展」でもシステム提案に注力します。
「工場内物流向けでは、パレットに積まれた段ボールを水平多関節(スカラ)ロボットで吸着して開梱ラインに運び、箱の大きさに合わせて内容物を傷つけずに梱包テープをカットする。ふたの部分は別のスカラロボットで切断し、段ボールの上部を開梱するまでの一連の作業を実演する。ロボットはあくまでもシステムの一要素で、こうした事例を通じて自社の物流作業を自動化するイメージを持っていただき、具体的な提案につなげたい」
―双腕協働ロボット2機種を10月末に発売しました。
「『ヒト型』は片腕7軸、腰2軸の計16軸で、人の腕の関節と同じ軸数で構成する。腰には旋回と曲げ伸ばしの2軸を備え、両腕で対象物を把持したままの振り返りなど、人と同じ作業スペースで、人と同じ動きを再現できる。『スカラ型』は片腕4軸、腰1軸の計9軸で構成。腕と腰の旋回軸を独立した構造とし、ロボットの動作と適用範囲を広げた」
―同ロボット2機種とも可搬質量は片腕6キログラム、両腕で10キログラムと実用性の高さが特徴です。
「軸数が多く動きが複雑になるが、3次元シミュレーターや動作パターンを画面上で組み合わせてプログラミングする機能などを採用し、操作性も追求した。展示会では自動車のバンパーをヒト型双腕ロボットでつかみながら外観検査を自動化するなど具体的な適用事例を披露する」(西沢亮)
(2023/11/28 05:00)