社説/能登半島地震 安否確認と支援・復旧に全力を

(2024/1/4 05:00)

元日の石川県能登地方を最大震度7の地震が襲った。マグニチュードは推定7・6と阪神・淡路大震災の7・3を上回り、東日本大震災以来の大津波警報も発令された。建物の倒壊・火災、道路の寸断が相次ぎ、被災地では行方不明者の迅速な安否確認はもとより、3万人超の避難者をはじめとした被災者への生活支援、インフラ復旧を急ぎたい。時と場所を選ばない大震災の脅威は、ひとごとでなく自分事である。能登地方の早期復興を祈りつつ「その日」への備えを新年にあらためて考えたい。

石川県での震度7以上の地震は初めて。特に輪島市、珠洲市の被害が大きく、輪島市での火災は200棟以上に及び、珠洲市では多くの家屋が全壊またはほぼ全壊とされる。火災や倒壊は古い木造建物が並ぶ集落で相次いだ。能登半島は2021年から3年連続で震度5以上の群発地震を観測していたが、十分な対策が講じられてこなかったのではと悔やまれる。今回の震災のメカニズムの解明、さらに浮き彫りになった課題を整理し効果的な対策につなげたい。

輪島市には1・2メートルの津波が到達し、津波は日本海側の北海道から九州まで広範に及んだ。

新潟には東京電力の柏崎刈羽原子力発電所もある。今回の震災で異常は確認されていないが、再稼働に向けて安全対策には万全を期してもらいたい。

95年の阪神・淡路大震災はボランティア元年とされる。国の国土強靱(きょうじん)化の推進と同時に、共助の動きが広がることにも期待したい。他方、会員制交流サイト(SNS)は被災状況の迅速な把握が可能である半面、生成人工知能(AI)によるフェイク動画・偽情報などのリスクにも留意する必要がある。

地震大国の日本は、30年以内に首都直下地震が発生する確率が7割、南海トラフ地震は7―8割とされる。首都直下地震は日本の国家予算に匹敵する経済被害も想定される。企業や家庭は実施すべき防災・減災対策をこの機に確認しておきたい。

「2024年の覚悟㊥」は5日に掲載します。

(2024/1/4 05:00)

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