(2024/1/11 05:00)
能登半島地震に見舞われた被災地の製造業の間で、生産再開の動きが出始めた。だが一部稼働にとどまる企業が少なくなく、通常体制にいつ戻るのか見通しにくい企業もある。被災地の被害の全容が不明な中、現地企業は従業員の安否と同時に設備の被災状況を確認しつつ、早期の復旧を目指している。まずは安全を最優先に設備の修復などに万全を期し、生産の本格再開への歩みを着実に進めたい。
北陸は半導体や電子部品、繊維、伝統工芸品などの産業が集積する。斎藤健経済産業相は9日の会見で、電子部品などエレクトロニクス分野の被災状況について、北陸に生産拠点を持つ主要15社のうち9社が生産を再開または再開のめどが立っていると述べた。主要な製造業の8割が生産再開または再開のめどが立っているとしており、復旧への動きが進むと期待したい。
ただ各社の9日の発表によると、全面再開に至っていない企業が少なくない。東芝は同日にパワー半導体を生産する石川県の子会社の操業を一部再開したが、クリーンルームの排気配管の修復などで全面稼働に至っていない。サンケン電気も同県の3工場で復旧作業に取り組み、日本ガイシは同県3工場の物的被害を確認中という。安全を最優先に設備の点検・修復を確実に進め、全面再開に備えたい。
一方、トヨタ自動車は8日の週に続き15日の週も、国内の完成車工場の生産を予定通り行うと10日発表した。被災地域以外の在庫部品の活用に加え、被災工場の復旧のめどなどを踏まえて決断した。22日の週以降も稼働を前提とする。被災工場への余震の影響に目配りしつつ、順調に稼働が続くと期待したい。
今後、懸念されるのが被災地の中小・小規模事業者だ。中でも繊維や伝統工芸品は中小・小規模が多く、生産再開の見通しが立っていない企業が多い。岸田文雄首相は9日の非常災害対策本部会議で、被災企業が雇用を維持できるよう雇用調整助成金の特例措置などを検討するよう指示した。被災地の生活支援やインフラ復旧などと同時に、中小対策にも万全を期したい。
(2024/1/11 05:00)
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