(2024/1/17 05:00)
阪神・淡路大震災の発生から17日で29年になる。10万棟超の家屋が全壊し、6434人もの犠牲者を出した大震災は、建築基準法の耐震基準を改正させるほど被害が甚大だった。能登半島地震は半島北部を中心に家屋が著しい被害を受け、その被災状況もいまだに全容が判明していない。能登では耐震基準を満たしていない家屋が少なくなく、対策不足が悔やまれる。被災地の復旧と同時に、効果的な耐震対策も検証し徹底したい。
阪神・淡路大震災の死者の約4分の3が建物の倒壊が原因とされる。老朽木造住宅のほか、ビルやマンション、病院なども広範囲に倒壊・半壊した。耐震基準は1981年に大幅改正され「新耐震基準」となったが、阪神・淡路の甚大な被害を教訓に、2000年に現行の基準に改正された経緯がある。
81年以前の「旧耐震基準」は震度5程度でも倒壊・崩落しないことが目安とされ、震度6以上の規定がなかった。新耐震基準は震度5程度では軽微なひび割れ、震度6、7程度でも倒壊・崩落しない規定となった。2000年の改正では接合金属や床の剛性、地盤力に応じた基礎構造も明記され、より厳格化された。30年以内に首都直下地震が発生する確率が7割、南海トラフ地震は7―8割とされる。耐震化の対策を加速したい。
だが18年度の全国の耐震化率は約87%で、能登半島地震で壊滅的な被害を受けた珠洲市は51%にとどまる。石川県によると16日時点の住宅被害(全壊・半壊・一部破損)は2万803戸に及ぶが、珠洲・輪島両市は全容が不明で含まれていない。
能登半島地震はマグニチュード7・6と阪神・淡路大震災の7・3を上回っただけでなく、能登地方は21年から3年連続で震度5弱以上の群発地震に見舞われていた。現行の耐震基準を満たしていても、被災の蓄積で倒壊した可能性がある。被災後の耐震診断はその都度必ず実施し、改修を重ねる重要性を示した。阪神・淡路で耐震基準を厳格化したように、能登半島地震でも浮かび上がった課題を整理し、今後の震災に備えたい。
(2024/1/17 05:00)
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