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(2024/1/22 05:00)
社会全体の豊かさ作る
(総合1から続く)子どもの頃から生き物が好きで、東北大学大学院では動物生殖科学を専攻しました。農薬や環境ホルモンが動物の生殖に及ぼす影響を主に研究しました。
一方、就職はさまざまな業界の事業に関わる総合商社を志望しました。研究には一つの世界に深く入り込む面白さがありますが、社会全体の豊かさを作るためにメーカーや流通・販売会社をつなぐ仕事に携わりたいと考えました。
伊藤忠商事には2017年に入社し、現在まで食料カンパニーに所属しています。これまで穀物の市場分析やパーム油の営業などを担当し、22年からカカオの貿易を担当しています。カカオ豆は主にアフリカ西部から、ココアパウダーなどの加工品はアジア圏から調達し、日本などへ販売します。日々、こつこつと仕事をして安定的に商品を供給することの大切さを感じています。
また、南米エクアドルでの持続可能なカカオ栽培のプロジェクトも担当しました。ソニーグループ子会社のシネコ(東京都港区)と共同で、農薬・肥料を使わずに他の植物も植えて生物多様性を構築・拡張する農法を検証しました。学生時代の農薬影響などの知見を生かして社内関係者に分かりやすく説明するなど事業推進をサポートしました。シネコとは次のステップに向けた検討を継続しています。
将来は食料事業で得た環境対応の知見を横展開してさまざまな業界を巻き込めればと思います。ずっと生きていきたいと思える地球環境であってほしいと考えています。
趣味の登山や散歩では地面の植物や昆虫を見るのが好きです。大陸にしかないはずの植物を見つけては、誰かが植えたのかなと思いを巡らせています。(文=編集委員・田中明夫、写真=同・木本直行)
◇伊藤忠商事 食料カンパニー カカオ・ゴマ課 荒川正恵(あらかわ・まさえ)さん
(2024/1/22 05:00)