(2024/2/1 05:00)
能登半島地震の被災地の復旧に向け、大きな課題となるのが膨大な「がれき」の処理だ。災害廃棄物の撤去なしに生活者や事業所の再建はおぼつかない。東日本大震災では被災地で処理しきれない廃棄物を全国で広域処理した。家屋の被害が甚大な半島北部の道路事情なども勘案し、海上輸送も含めてどのように処理すべきか、政府・自治体は早期に対策を講じてほしい。
珠洲市は1月29日から災害廃棄物の撤去を始め、輪島市も31日に着手した。道路をふさぐ廃棄物を重機で取り除く。自宅に近づけない被災者もおり、幹線道路と同時に生活道路の復旧も急ぐ必要がある。ただ撤去作業が進むにつれ、廃棄物の仮置き場と搬出先確保が課題になる。
宮城県の村井嘉浩知事は1月15日の会見で、東日本大震災の教訓から「石川や富山、新潟県だけではおそらく対応できない」と広域処理の必要性を指摘する。東日本大震災では岩手・宮城の両県で約2000万トンの災害廃棄物が発生し、処理に3年を費やした。廃棄物の2割を隣県の山形や青森、さらに東京都や福岡県などで広域処理したほか、廃棄物の約8割を再生利用した。この事例に倣いたい。
政府は災害廃棄物の円滑な処理に向け、自治体や事業者で構成する地域ブロック協議会を全国8カ所に設置している。だが地域ブロックの枠を越え、全国レベルでの対応も視野に廃棄物処理を加速したい。処理に時間がかかれば、それだけ被災者の仮住まいが長くなってしまう。
石川県では約4・6万棟の住家が全壊か半壊、または一部損壊した。被害が甚大だった珠洲市の2018年の耐震化率は51%(全国平均87%)と低い。加えて能登地方は21年から3年連続で震度5弱以上の群発地震に見舞われており、被災の蓄積で倒壊した可能性もある。耐震化はもとより、震災のたびに耐震診断を行う対策が必要になる。
環境省によると、南海トラフ地震は東日本大震災の16倍の3・2億トン、首都直下地震は5倍の1・1億トンの災害廃棄物が発生すると予測する。この数値に抗(あらが)う対策を今から講じたい。
(2024/2/1 05:00)
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