(2024/2/12 05:00)
先週末の東京株式市場の日経平均株価が一時3万7000円を突破した。1990年2月以来、約34年ぶりの高値である。株高の要因は複数あるが、根底にあるのは企業の好調な決算であろう。上場企業に問われてくるのは利益配分のあり方だ。株主や投資家にとどまらず、中小企業への価格転嫁や賃上げなど多様なステークホルダー(利害関係者)に目配りし、適切な配分でデフレ脱却を実現したい。
先週末の東京外国為替市場は1ドル=149円台まで円安が進み、輸出関連銘柄を中心に株価を押し上げた。経済堅調な米国の利下げ観測が後退する中、日銀副総裁がゼロ金利政策解除後も緩和的な金融環境が続くと発言したことで、日米金利差が意識され相場は円安に傾いた。
他方、東京証券取引所が2023年3月末に上場企業に要請したガバナンス(統治)改革も株高に一因しているとされる。東証は株価純資産倍率(PBR)が1倍を割る企業に改善を求め、上場企業の自社株買いなどを海外投資家が好感しているという。だが自社株買いの効果は一時的とされ、株主や投資家に過度に目配りする財務戦略については懐疑的な見方もある。
日本企業の好決算を支える円安は、一方で輸入物価を上昇させるため中小企業や家計には負担増になりやすい。円安で収益が増えた上場企業は、円滑な価格転嫁で中小企業の賃上げ原資を確保し、従業員への積極的な賃上げにより消費喚起を起点とした経済好循環を回したい。
バブル後最高値を更新する株価上昇は歓迎だ。だが、まずはデフレからの完全脱却に向け、多様なステークホルダーへの配慮が上場企業に求められる。
ハイテク株が好調な米国の株価も最高値の更新が続いている。この米国の株高と日本企業の好決算、円安、さらに海外投資家が不動産不況の中国への株式投資を手控え、日米に振り向けていることも日本の株高につながっている。ただ中国経済の停滞は日本経済にも影響を及ぼす。中国政府は不動産開発企業の再編などを進め、早期に経済を立て直すことが求められる。
(2024/2/12 05:00)
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