産業春秋/デブリ除去で宇宙ビジネスの露払い

(2024/2/23 05:00)

18日深夜、アストロスケール(東京都墨田区)の商業デブリ除去実証衛星の打ち上げが成功した。19日のH3ロケット打ち上げ成功の陰に隠れたような形になってしまったが、これも日本の宇宙ビジネスの前進を示すいいニュースだ。

衛星は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の実証フェーズ1の契約相手となり開発された。ニュージーランドの発射施設から打ち上げられ、高度約600キロメートルで軌道に投入された。

ミッションはH2Aロケット上段に接近し状態を調査すること。2009年に打ち上げられ、この高度域に残る長さ11メートル、直径4メートル、重さ3トンのデブリ(宇宙ゴミ)だ。

人工衛星は毎秒8キロメートルで地球の周りを飛ぶ。デブリは位置情報を発信していないので、地上からの観測データと搭載センサーを駆使しなければ接近できない。近付いたら回転しているかもしれない。まず、どんな状態かを把握しなければ処理はできない。

政府の宇宙関連予算は大きく拡大している。24年度当初予算と23年度補正予算を合わせ、前年度比46%増の8945億円に上る。こうした中で宇宙ビジネスを加速するには民間企業の参画が欠かせない。デブリ除去実証はその露払いとなる。

(2024/2/23 05:00)

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