(2024/3/6 12:00)
ニチバンの埼玉工場(埼玉県日高市)は、セロハンテープ「セロテープ」の主力工場だ。2023年5月にテープ安城工場(愛知県安城市)からセロテープの生産を移管。現在は国内向けを中心にセロテープを1日30万巻以上製造するほか、布テープや和紙マスキングテープも生産する。執行役員を務める久保聡埼玉工場長に、変革に挑む工場の方針や人材育成について聞いた。
―設備移管の経緯と工夫は。
「セロテープは1967年から主にテープ安城工場で製造していた。老朽化した設備の更新などを踏まえ、2014年からセロテープを含むテープ類の製造体制を再構築。埼玉工場でのセロテープ製造を本格開始した。特に15年に導入した設備は、生産効率向上に貢献する。セロテープは長めの幅でテープを作り、同幅の芯で巻き、規定幅で裁断する。従来より裁断を1ライン増設して2ライン化した。多様化するテープ幅に合わせ、同時に異なる幅でテープを裁断できる体制を整えた」
―製造ライン自動化の進展は。
「ほとんどの製造工程で自動化を進めている。23年10月にはフィルムに塗工する剥離処理剤などの生産を自動化。作業の省人化も実現した。一方で粘着剤の生産は人手が多く必要な工程だ。材料の天然ゴムは粘度にバラつきがあり、練る工程で時間の調整が必須。作業員が材料を個別に確認し、同じ品質を担保する」
―社員教育にも注力しています。
「定期的な技量評価を通じて、社員の多能工化を促進する。工程ごとの個人の能力をまとめ、不足する点を可視化する。現場で簡易的な設備メンテナンスができる知識も定着させる。工場は土日も稼働するが、保守管理部門は土日は休み。設備故障時の生産計画への影響を最小限にする。オン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)を通じて、できる範囲を徐々に増やす」
―今後の方針は。
「“セロテープの文化”を工場に定着させる。新たに埼玉工場の基幹製品となったセロテープで、より高品質で高効率な製品を目指す。現場社員が自主的に生産工程を改善する風土をつくり、誇りを持って作業に取り組む文化を醸成する」
(2024/3/6 12:00)
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