(2024/3/19 12:00)
三菱UFJ銀行は50代以降の社員のキャリア形成を後押しするため、希望の部署や業務を志願できる「シニアFA(フリーエージェント)制度」を試験的に始めた。志願者と受け入れる部店をマッチングする仕組みだ。女性管理職層が役員から指導や助言を受ける機会を設け、意識改革を図る取り組みも活発化している。多様な社員が等しく力を発揮できる環境を整え、組織の活性化につなげる。
シニアFA制度の対象者は応募時点で満50歳以上の本部在籍者だ。所定のフォーマットに①希望部署や領域②スキル・保有資格③これまでの業務経験・キャリア④アピールポイント―の4点を記載。支店長といった限られた社員だけが閲覧できるイントラネットの掲示板に応募データとしてアップする。
応募データに氏名は掲載されない。内容に興味を持った部店から人事部に連絡があると、当該部店に応募者の氏名を伝え、面談を個別に実施する流れだ。2023年下期から応募受け付けを始め、現在は選考中。合格すれば半年以内に異動が発令される。
人事部人事グループの江戸野智嗣上席調査役は同制度を始めた狙いを「意識改革と人材確保の二つの観点がある」と語る。会社から与えられたキャリアを歩むのではなく、キャリアを自ら形成する意識に転換する狙いだ。同行は希望する業務に挑戦できる制度などさまざまな社内公募制度を用意するが、若手や中堅社員の応募が大多数で、シニア層の参画が課題だった。
少子高齢化を迎えて優秀な人材の確保が年々難しくなる中、「社内に素晴らしい人材がたくさんおり、ここを活用しなければビジネスを支えられないと判断した」(江戸野上席調査役)のが二つ目の理由だ。シニアFA制度を運用して社内の反響は大きく、「どれくらいの合格者が出るかなども踏まえて今後の展開を検討する。対象を広げるアイデアもある」(同)という。
上位職への登用を想定する管理職以上の女性従業員に対し、役員が指導・助言する「役員メンタリング」プログラムも取り組みを強化している。対象者ごとに個別の育成計画書を作成し、毎月の頻度でメンタリングを実施する。メンターの役員の評価も踏まえ、実際の異動に反映させる。
役員から実践的なアドバイスを受けることで、経営を担うための不安感などを払拭する効果が期待できる。対象者は21年度70人、22年度150人、23年度300人と毎年倍増。対象年次を従来より6年引き下げ、早期の育成も検討している。
日本企業は欧米に比べて女性の管理職や役員の比率が低いのが課題だ。政府は東証プライム上場企業で30年までに女性役員比率30%(23年7月時点13・4%)を目標に掲げる。三菱UFJフィナンシャル・グループは女性管理職比率を24年3月末までに22%にする目標を掲げており、23年10月時点で20・1%。役員候補となる管理職層の裾野を広げ、政府目標の達成を目指していく姿勢だ。
(2024/3/19 12:00)
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