(2024/3/22 05:00)
21日の東京株式市場の日経平均株価は終値が4万815円66銭と、史上最高値を更新して取引を終えた。米株高に加え、日米金利差が意識された円安基調が国内株価を押し上げた。株価上昇は歓迎だが、1ドル=150円台が定着する行き過ぎた円安は輸入物価を押し上げ、実質賃金の回復を遅らせかねない。政府・日銀は過度な円安に適切に対応し、産業界は意欲的な賃上げや成長投資など、円の購買力を高める施策を継続したい。
日銀が19日に決めた政策金利の引き上げは、本来なら円高材料となる。だが実際の相場は真逆に反応し、21日の東京外国為替市場は1ドル=150円台の円安で推移した。日銀は金融正常化に動くものの、政策金利は0―0・1%と米国の5%超と依然格差が大きい。植田和男総裁は追加利上げを急がない方針を示し、米連邦準備制度理事会(FRB)が20日(現地時間)の会合で利下げを見送ったことも円安を促した。日米の今後の金融政策の動向を注視したい。
財務省が21日に発表した2月の貿易収支(速報)は3794億円の赤字で、為替レートが対ドルで前年同月比13・7%円安だったことも影響した。日銀によると、通貨の購買力を示す1月の実質実効為替レート(2020年=100)は72・87。1ドル=360円だった固定相場時代とほぼ同水準だ。海外に見劣りする賃金の引き上げと同時に日本の稼ぐ力を引き上げ、貿易収支の黒字化を定着させたい。
円安は輸出に有利に働くものの、すでに日本企業は海外生産を増やし、円安効果は薄れている。むしろ輸入物価の上昇が個人消費をさらに冷やしかねないマイナス面が気がかりだ。連合は22日に24年春季労使交渉(春闘)の2回目の回答集計結果を公表する。5%超の賃上げ率を最終集計まで継続させ、“安いニッポン”から脱却したい。
米FRBが今回の会合で、年内に3回利下げする予測を維持したことは、円安是正に向けてはプラス材料だった。0・25%の利下げが3回実施されて日米金利差が縮小し、円安が一定程度は修正されると期待したい。
(2024/3/22 05:00)
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