(2024/3/26 05:00)
日銀が4月1日に発表する3月の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業・製造業の業況判断指数(DI)が4四半期ぶりに悪化する見通しだ。不祥事に伴う大手自動車メーカーの生産停止や能登半島地震、中国経済の減速が景況感に影響した。ただ、先行きは自動車生産の回復に加え、賃上げによる消費喚起や堅調な設備投資が見込まれる。内需主導の成長を実現し、企業の景況感を上向かせたい。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業割合から「悪い」回答割合を引いた値。シンクタンクの予測によると、前回調査(23年12月)でプラス13だった大企業・製造業の同DIが今回はプラス9―11に悪化するとの予測が多い。ただ自動車の生産停止は一過性の要因で、今回の景況悪化は一時的なものである。
3カ月後の先行きDIはプラス10―13に改善するとの予測が目立つ。自動車生産の回復や、24年度から半導体市場が持ち直すとの期待が背景にある。中国経済の停滞や米欧の高水準の政策金利など、海外経済の先行きが不透明なだけに、企業は賃上げと同時に成長投資も積極化し、内需の拡大につなげてほしい。
シンクタンクは全規模・全産業の24年度の設備投資計画について、前年度比で2―3%台の堅調な伸びを予測する。企業は半導体や電気自動車(EV)、脱炭素、人手不足に伴う省力化投資などを積極的に進めたい。
大企業・非製造業の業況判断DIは歴史的な高水準にある。前回調査でプラス32に達した同DIは横ばいまたは改善するとの予測が多く、プラス30―33の高水準を維持する見通しだ。実質賃金は減少しているものの、小売りや宿泊業・飲食などで価格転嫁が進み、訪日外国人客はコロナ禍を上回る。株高による資産効果も追い風。先行きDIもプラス33程度の予測が目立ち、24年春季労使交渉(春闘)での意欲的な賃上げで経済好循環を回したい。
中小・非製造業の先行きDIの悪化予測が目立つのが気がかりだ。人手不足対策で増やした労務費の負担が重い。価格転嫁を推進し、賃上げと同時に中小の経営も支える必要がある。
(2024/3/26 05:00)
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