産業春秋/円安、政府・日銀は適切に対応を

(2024/4/3 05:00)

連合は4日、2024年春季労使交渉(春闘)の3回目の回答集計結果を公表する。2回目の集計では平均賃上げ率(加重平均)が5・25%と、33年ぶりの高水準だった。3回目の集計も5%台の維持が期待されるが、気がかりなのが為替相場の動向だ。

2日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=151円台後半の円安で推移。輸入物価の上昇が春闘に水を差しかねない。鈴木俊一財務相は同日の会見で「あらゆるオプション(選択肢)を排除せず適切に対応する」と語り、為替介入の可能性に言及した。

日銀は3月19日の金融政策決定会合で、異次元金融緩和に終止符を打った。本来なら円が買われやすい環境だが、3月に1ドル=149円だった平均為替レートはむしろ円安に傾いている。

日銀は3月に6兆円近くの国債を購入した。長期金利を抑えるイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)を撤廃したものの、月6兆円程度の国債購入を継続すると表明していた。債券市場を混乱させない配慮が円安の背景にある。

米国の利下げ観測の後退も円安を後押ししている。歴史的な春闘を起点とした経済好循環は実現するのか、政府・日銀には適切に対応してもらいたい。

(2024/4/3 05:00)

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