(2024/4/11 05:00)
中小企業の合従連衡をめぐる議論・提言が相次いでいる。人手不足や後継者問題を抱える中小企業の生産性を向上させる手段の一つとして、M&A(合併・買収)を促す環境整備が必要との指摘だ。日本経済が持続的に成長するには、雇用の7割を占める中小企業の新陳代謝が欠かせない。政府は6月にも策定する経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で、効果的な施策を打ち出してほしい。
政府の新しい資本主義実現会議では、中小企業のM&Aを促す環境整備が論点の一つになっている。例えば、M&Aを仲介する民間仲介事業者の手数料が不透明といった課題がある。
仲介事業者は、企業の売り手より買い手の意向に強く反応する利益相反が指摘されている。手数料は500万円や1000万円が多いが、料金体系は各事業者でさまざまだという。仲介事業者に手数料体系の開示を求め、手数料の透明化を進めるべきだという提言がある。手数料の引き下げにつながるほか、中小企業が仲介事業者を利用しやすい環境になると期待される。 経済同友会は、中堅・中小企業の生産性を向上させる施策を政府に提言した。中小企業の保護政策が日本の生産性を低下させたとし、競争力のある企業に資本と労働力を移す合従連衡を促すべきだと提言している。
対策の一つとして、官民が共同出資する「中堅・中小企業事業承継機構(仮称)」構想を挙げる。機構は、事業を譲渡したい企業から株式を購入した上で経営を管理。機構はマッチング支援も行い、探した譲渡先に株式を売却する仕組みだ。中小企業の規模拡大や事業多角化を後押しする施策として興味深い。
政府の中小企業政策は資金繰り支援から事業再生支援に移りつつある。成長力のある中堅企業を税制で優遇し、中小企業へのM&Aなどを促す法案も今国会での可決・成立を目指している。中小企業は資金調達負担が増す「金利のある世界」の本格到来も見据え、持続的な賃上げが可能な収益基盤を築く必要がある。政府は事業再生を後押しする環境をさらに整えたい。
(2024/4/11 05:00)
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