(2024/4/18 05:00)
経団連は、産業競争力の強化に向けた政府への提言をまとめた。「人工知能(AI)・ロボット大国」実現に向け、今後3年程度を集中投資期間とし、政策総動員での支援を求めた。膨大な計算が必要な生成AIの普及で電力消費の急増が想定される中、原子力の最大限の活用が不可欠と指摘した。東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)をはじめ、安全を確認できた原発は地元同意を前提に、再稼働への歩みを着実に進めたい。
経団連は2040年を見据え、官民が産業基盤の強化に向けた長期戦略を共有すべきだと提言。AI・ロボットや半導体・光・量子、エネルギーなど7分野を戦略分野の候補とした。中でも深刻な人手不足にはAI・ロボットなどのデジタル技術の活用が有効とし、短期・中長期の両面での取り組みを求めた。今後3年程度は大胆な予算・税制・規制改革などを総動員で講じることを政府に要望した。
ただ生成AIや、それを支える半導体の製造には大量の電力が必要になる。国際エネルギー機関(IEA)の予測では、データセンターの電力消費量は26年までに倍増する。安価な電力の安定供給は産業競争力に直結する。経団連は原発再稼働や再生可能エネルギーの供給量拡大、さらに次世代革新炉や蓄電池の開発の必要性を訴える。
エネルギー安全保障と脱炭素を実現する上でも、再生エネを主力電源化しつつ、ベースロード電源(低コストで安定供給できる電源)として原発を最大限活用することが求められる。
東電柏崎刈羽原発では15日から、7号機の原子炉に核燃料を入れる「燃料装荷」と呼ばれる作業が始まった。17日に作業を一時中断したが、今後は再稼働に向けた地元同意が得られるかが焦点になる。柏崎市と刈羽村が再稼働に前向きな一方、新潟県が慎重姿勢を示す。能登半島地震も教訓に、避難指針の見直しや避難路の再整備を進めるなど地元の不安を緩和させる対応が欠かせない。原発の最大限活用へとエネ政策を転換させた岸田文雄政権が前面に立ち、地元の理解を醸成してもらいたい。
(2024/4/18 05:00)
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