リョーユウ工業、ベテラン・女性・外国人活躍 多様性でマンパワーと自動化融合

(2024/4/23 12:00)

リョーユウ工業(福岡県宇美町、諸石裕社長)は、金属加工事業者。1972年の創業以来、アルミニウムやステンレスの切断、曲げ、溶接加工を展開する。50歳以上のベテラン社員や女性、外国人が活躍する多様性を実現したマンパワーと自動化が融合。設計から加工までの一貫体制による、小ロットや低価格、短納期など多様なニーズへの対応力が強みだ。

  • 工場内の掲示板で社員の体力や健康状況なども共有しお互いにサポートする

リョーユウ工業の社員は45人(2024年4月時点)。そのうち25%は50―60代。また7人が女性だ。

外国人は17年から採用を始めて現在4人。国籍はネパール、ロシア、ベトナムとさまざま。全員が実習生ではなく正社員で生産現場や設計などで活躍する。諸石社長は「そもそも留学などで日本に来る外国人は優秀な人材が多い」と話す。同社では言葉の壁もすぐに乗り越えて日本語によるコミュニケーションが普通に行われるようになるという。日本人社員のモチベーション向上にもつながっている。

50―60代の社員は先代の諸石信義社長の時代の一時期に同世代の友人やそのつてでの採用。一気に多くの退職者が出ることが予想されていた。「しかし幸いなことに全員元気で若い頃と変わらない働きを続けている」(諸石社長)という。

  • 設備の安全性や操作のしやすさ実現のため社内の金属加工技術で踏み台を製作した

同社はベテラン、女性、外国人など多様な社員が長く勤務できるように健康や安全面、働きやすさなどに配慮した現場づくりを実践する。65歳定年制度の導入は24年度を計画。ベテランのキャリアアップを社内の助成金で支援する。パソコン操作などを学んでもらい、管理業務や報告書作成などデスクワークへの切り替えを進める。

生産現場での事故発生防止にも力を入れる。19年に安全衛生委員会を立ち上げ、2カ月おきに事故防止勉強会を開く。現場には安全靴の着用を奨励する。また、重大事故につながる現場の「ヒヤリ・ハット」の対策に自前の金属加工技術を生かす。例えば、工場内での転倒を防ぐ目的で手すりを製作。むき出しのコードには転倒防止カバーを作って取り付けた。

工場内の金属加工機の横には、自社で専用の踏み台を製作し設置。金属加工を担当するベトナム人のグェン・ヴァン・ゴッさんは「安全で加工がしやすい」と満足する。

また腰痛対策など健康面や労働災害を防ぐために、ベテランや女性が1人で持てる重量を決めて周囲が手伝うなど細かいルールを設け、工場内の掲示板で知らせるなどして全員で徹底する。細やかな配慮の積み重ねが生産性向上にもつながっているという。

(2024/4/23 12:00)

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