小野薬、米バイオ医薬企業を3700億円で買収 がん領域開発強化

小野薬品工業は３０日、米バイオ医薬品企業のデサイフェラ・ファーマシューティカルズ（マサチューセッツ州）を買収すると発表した。総額約２４億ドル（約３７００億円）を投じ、デサイフェラを１００％子会社とする。２０２４年度第２四半期（７―９月）中の買収完了を見込む。がんを対象とした医薬品の研究開発力や欧米での自社販売網を持つデサイフェラの買収により、目標とする欧米での自社販売やパイプライン（開発品）強化につなげる。

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  小野薬品は「オプジーボ」の特許切れを見据えて海外事業の強化を図ってきた

小野薬品、デサイフェラ両社の取締役会が買収に賛同し、２９日に契約を締結した。小野薬品は買収のために設立する完全子会社を通じてデサイフェラ全株式をＴＯＢ（株式公開買い付け）で取得する。買い付け金額は１株当たり２５・６０ドルで、２６日から過去３０日間の売買高加重平均株価に６８・８％のプレミアムを加えた価格に相当する。

デサイフェラはがん領域の革新的医薬品の研究、開発、販売に注力し、自社で創製した経口キナーゼ阻害剤の豊富なパイプラインを持つ。消化管間質腫瘍の４次治療薬剤「ＱＩＮＬＯＣＫ」は欧米、中国など４０カ国以上で販売されている。

小野薬品は主力のがん免疫療法薬「オプジーボ」の特許が日本で３１年に切れることを見据えて事業の海外展開を加速しており、欧米での自社販売を目指している。米国では中枢神経系原発リンパ腫治療薬の臨床試験を実施中。グローバルな製薬会社を目指すには「海外における持続的な新薬候補の投入が必要」（滝野十一社長）とし、がん領域の開発品をそろえており欧米で販売網を持つデサイフェラの買収を決めた。