(2024/5/8 12:00)
少量多品種・需要変動に対応
京西電機(東京都八王子市、田野倉寛社長)は、2023年に山梨工場(山梨県市川三郷町)のプリント基板表面実装ラインを約9年ぶりに刷新した。同社は主に電子機器製造受託サービス(EMS)を手がけ、少量多品種生産を実践している。田野倉社長は「海外から国内に生産回帰の傾向が見られる。数年後を見据え、投資に踏み切った」とし、主要顧客の半導体製造装置や医療機器、通信・計測機器関連からの受注増に備える。
新ラインには約2億円を投じた。山梨工場では新ラインを含む二つのプリント基板表面実装ラインが稼働し、月に約400品種を製造している。稼働開始から約半年が経過し、京西電機取締役で山梨工場の次田徹工場長は「生産時のデータが蓄積されたことで、より効率的な生産計画の立案ができるようになった」と強調する。
当初、工場の生産性40%増を見込んでいたが、24年3月の時点で50%程度の増加を達成できた。ラインを構成する新しい装置の性能向上に加え、データを分析し、段取り替え時間を短く設定できたことが大きな要因だ。「現場の風景が変わった。データ分析の利点は狙っていた通りで、まだ生産性向上を進められる余地がある」(次田工場長)と見込む。
同社は工場の競争力を上げるため、15年から改善活動に取り組んだ。ムダ取りなど基本的な活動から徐々にレベルを上げ、現在はデータを活用した問題点の抽出など、デジタル変革(DX)に関する取り組みに発展させている。力を入れるのはデータ収集と見える化。管理者までだった生産計画・進捗(しんちょく)状況の見える化を、今後は現場レベルまで進めていきたい考えだ。
プリント基板表面実装ラインの後工程に当たるユニットへの組み立てや、開発・設計から手がけるカスタム電源の組み立て、検査工程などでは人手が中心の作業になる。人材育成が重要と考え、外部研修などを積極的に活用。次世代を担う中核人材やデジタル人材の育成に力を入れる。今後はジョブローテーションも積極的に行っていく。
次田工場長は「さらなる少量多品種や顧客からの急な増産要請に応える変動対応力を付けることが大事で、そうした体制を強化していく」と力を込める。人材確保においてはグループ企業に製造業への派遣を中心とした企業を擁している点が強みだ。
生産ラインの増強やデジタル化、人材面での変動対応力を顧客に訴求し、新規受注獲得につなげていく。
(2024/5/8 12:00)
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