アサヒロジスティクス、運転手、未経験者を養成 自前教習所や女性専用車

(2024/5/9 12:00)

アサヒロジスティクス(さいたま市大宮区、横塚元樹社長)は、トラック運転未経験者の採用や育成に向けた取り組みを強化している。トラックの運転技術を学べる専用センターを設立したほか、自動車学校を買収するなど相次いで手を打った。トラック運転手の残業が規制される「物流の2024問題」に直面する中、未経験者でも入社後に活躍できる環境を整備する。

  • 深刻な運転手不足を見据え、採用・育成に注力する

「業界内で運転手を取り合っている限り、人手不足という課題は解決しない。業界外から人を呼び込むことが大切だ」と横塚社長は強調する。食品物流を手がけるアサヒロジスティクスは、深刻な運転手不足を見据え、採用・育成に注力してきた。最も象徴的なのが、2017年に開設した研修施設「滑川福田センター」(埼玉県滑川町)だ。

同センターは外周約400メートル、直線約130メートルの敷地を持ち、教習所のようなトラック専用のコースが整備されている。運転指導の経験が豊富な指導者のもとで、実践的な練習を積める。運転手として入社した全員が3泊4日の新人研修を受講し、ここでプロとしての基礎を築く。新人指導はこれまで配属先の営業所任せが通例だったが、横塚社長は「『経験と勘まかせ』から『育てるプログラム』への移行を果たした」と自信を見せる。

22年には自動車教習所運営の川越自動車学校(同川越市)を買収。未経験者がトラック運転に必要な免許を速やかに取得できる体制を整えた。同校で免許を取得した後、滑川福田センターで練習する一気通貫型とした。

  • 女性専用車両「クロ-バー」は、荷物固定用のベルトをかけるフックを低い位置に配置

さらに運転手になるハードルを下げるため、トラックなど保有車両の自動変速機(AT)化を進め、3月末で一部車両を除く全車両のAT車化を実現。運転負荷を下げたことで社員全体の労働環境の改善にもつながった。

女性運転手に照準を合わせた取り組みも特徴的だ。20年に女性専用車両「クローバー」を投入。着替えができるよう運転席にカーテンを設置したほか、身長が低い女性でも扱いやすいように、荷物固定用のベルトをかけるフックを低い位置に配置するなど女性の働きにくさの解消に動いた。

これら複数の方策を並行で進めた結果、同社のトラック運転手における未経験者率は、18年3月から15・4ポイント増の45・8%となった。業界でもかなり高い水準という。横塚社長は「誰もが安心して働ける、魅力ある業界を目指す」と展望を語る。運転手のなり手を増やしながら、社員の働きやすい環境の整備に向け歩みを進める。

(2024/5/9 12:00)

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