JAXAなど、月深部由来の岩石特定 SLIMの最新成果を発表

(2024/5/27 17:00)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)や立命館大学、会津大学などは27日、小型の月着陸実証機「SLIM(スリム)」に搭載されたカメラで撮影した画像の中に、月の深部由来の岩石があることを明らかにした。撮影した鉱物ごとに鉱物量比を解析。マグネシウムや鉄で構成され、深部に存在するカンラン石を多く含む岩石があることが分かった。月の形成過程や化学組成などの解明につながる。日本地球惑星科学連合2024で発表した。

  • マルチバンド分光カメラで撮影した月面。ダルメシアンにカンラン石が含まれていた(JAXA、立命館大、会津大提供画像を基に作成)

スリムに搭載した化学組成の分析に適した「マルチバンド分光カメラ」で撮影した画像に見られた10個の岩石について一つずつ名前を付けており、そのうちスリムから15メートル以上離れた場所に位置する“ダルメシアン”に注目。数センチメートルレベルのカンラン石が含まれていることが分かった。一方で“ビーグル”と名付けられた岩石はケイ酸塩鉱物の一種の「斜長石」に富んでおり、岩石ごとに化学組成が異なることが明らかになった。

現在、カンラン石の詳細な分析を続けており、酸化鉄やマグネシウムの含有量などを解析することで、地底深部のマントル由来であるかを調べる。

スリムの月面着陸の目的の一つが、月の形成や進化の解明につながる内部由来の物質調査だ。月は地球に大型の天体が衝突したことで形成したという説が知られており、月の内部組成は地球と似ている可能性が高い。内部物質を分析すれば月が作られた過程が分かるが、マントル由来の試料分析はできていなかった。

(2024/5/27 17:00)

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