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(2024/6/24 05:00)
話し合い自分の味が商品に
(総合1から続く)父親が大学の農学部で教えていたので、その影響もあり子どもの頃から植物が好きでした。食品にも興味があり京都大学農学部に進みました。大学院ではバラ科植物の果実の遺伝子を研究。特にサクランボは自らの花粉では「佐藤錦」を実らせることができない「自家不和合性」があります。自分の花粉で実現できる遺伝子の候補を探るのがテーマでした。2015年にサントリーホールディングスに入社したのは当時、「青いバラ」の開発が話題になり、自らの研究に近いと魅力に感じたからです。
配属はサントリースピリッツ(現サントリー)商品開発研究部で、チューハイの開発を担当。中身のブレンドや製品の品質保証、新しい原料の採用に対する品質保証などに取り組みました。「味」は主観で正解がないという難しさがあり、周りの意見を聞くことの大切さを感じました。中身設計とブランド開発、パッケージデザインの担当が多角度で話し合うことが大事でした。蜜入りリンゴのチューハイ「ほろよい〈蜜りんご〉」の開発は、期待される味を自分で考えて具体化した思い出に残る商品です。
18年からサントリー食品インターナショナル商品開発部に異動しました。他の商品の開発もやってみたいと思っていた時期で良いタイミングでした。水分補給飲料「GREEN DA・KA・RA」などを担当。ロングセラー商品で中身を毎年バージョンアップします。どこを残してどこを変えるかが難しく、いかに飲み心地や水分補給感を高めるかがポイントです。
これからも開発担当を続けるのが希望で、機会があればもう一度、酒類で食品で学んだことを生かしたいとも思います。休日は、あちらこちらに食べに行ったり、旅行したりするのが好きです。(文=編集委員・井上雅太郎、写真=森住貴弘)
◇サントリー食品インターナショナル 商品開発部 渡辺美佳子(わたなべ・みかこ)さん
(2024/6/24 05:00)