(2024/6/26 05:00)
コストプッシュ型インフレが加速しないか懸念される。5月の消費者物価指数は電気代などの高騰で4月より上昇し、足元の円安による輸入物価の高騰が夏以降に製品・サービス価格に転嫁されるとみられる。岸田文雄首相は電気・ガス代の政府補助再開を打ち出したが、時限措置にとどまる。日銀が7月に示す国債買い入れ減額の内容や追加利上げの時期を注視したい。
総務省によると、5月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比2・5%上昇と、4月の同2・2%上昇から伸び率が拡大。電気代が同14・7%上昇した影響が大きい。再生可能エネルギーの普及を目的に電気代に上乗せする賦課金が5月から引き上げられた。電気・ガス代の政府補助も5月使用分で終了しており、足元の円安と物価の上振れには警戒したい。
岸田首相は21日の会見で、電気・ガス代の政府補助を8―10月に再開し、ガソリン補助も年内は継続すると表明した。ただ双方とも期間限定で、消費者心理の大幅改善は期待しにくい。
2024年春季労使交渉(春闘)は33年ぶりの歴史的な賃上げ率となる。4月まで25カ月連続で前年を下回る実質賃金がプラスに転じることが期待されるが、円安と資源価格の高止まりが春闘効果を減殺しかねない。
日銀は7月30、31の両日に開く金融政策決定会合で、現行の月6兆円程度の国債買い入れ額について、今後1―2年程度の減額幅を示す。植田和男総裁は「相当な規模」になるとし、追加利上げとの同時実施の可能性も排除しない。ただ金融引き締めは企業の資金調達や消費マインドに影響を及ぼす。日銀は7月1日に発表する企業短期経済観測調査(短観)も踏まえ、慎重な政策判断が求められる。
日米の政策金利差は5%以上ある。米国は高インフレ率を背景に高金利がしばらく続きそうで、日銀の金融引き締めも大幅な円安是正は期待できない。だが米国は25年に3回としていた利下げ回数を4回に増やした。日銀が金融正常化への歩みを進めることで早晩、過度な円安は是正に向かうと期待したい。
(2024/6/26 05:00)
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