(2024/6/27 05:00)
日銀が7月1日に発表する6月の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業・製造業の業況判断指数(DI)が足踏みする見通しだ。前回の3月調査ではダイハツ工業の生産停止などが影響し、同DIは4四半期ぶりに悪化していた。この影響は一時的だったが、6月に新たな自動車メーカーの認証不正が発覚し、6月調査のDIはほぼ横ばいにとどまりそう。自動車メーカーは、不祥事が製造業全体の業況に及ぼす影響の大きさをあらためて銘記する必要がある。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業割合から「悪い」回答割合を引いた値。シンクタンクの予測によると、前回3月調査でプラス11だった大企業・製造業の同DIが今回はプラス11―13と、横ばいまたは小幅な改善にとどまると見通す。ダイハツ工業の生産再開や半導体市場の回復といったプラスの効果を、新たな自動車メーカーの認証不正が一部減殺したとみられる。
トヨタ自動車やホンダなど自動車メーカーは、定時株主総会で認証不正問題について相次ぎ謝罪した。日本のモノづくりへの信頼を大きく失墜させかねない問題だけに、業界を挙げた再発防止と信頼回復を急ぎたい。
大企業・非製造業の業況判断DIはプラス32―33との見立てが多い。前回3月調査のプラス34より小幅な悪化だが、指数自体は歴史的な高水準で推移するとみる。円安による原材料費の高止まりはマイナス材料だが、訪日外国人客には追い風となり、宿泊・飲食業を中心に業況の改善が続く。日本政府観光局によると、5月の訪日外国人客は304万人に達し、19年5月比で9・6%増とコロナ禍前を上回る。ただ人手不足が深刻で、先行きは小幅に悪化する可能性がある。
大企業・製造業の3カ月後の先行きDIは、プラス13―14と小幅な改善との予測が多い。半導体市場の持ち直しが継続し、新たに発覚した自動車メーカーの不正問題による影響も徐々に剥落するとみる。懸念は行き過ぎた円安に伴う物価高だ。製造・非製造業を問わずに重しで、デジタル化による生産性向上などで円安への耐性を高めたい。
(2024/6/27 05:00)
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