(2024/7/3 12:00)
産業用ロボットや工場自動化(FA)機器、合理化設備を設計・製造するアヤラ産業(栃木県那須烏山市、中村恵之社長)は、機械加工現場の省力化・省人化に注力している。対話型プログラム搭載の加工機を活用し、若手社員が業務に取り組みやすい環境を整備。協働ロボットと連携しツールの付け替えを自動化する検討にも着手した。「機械加工現場に人が集まりづらい」(中村社長)中で持続可能な現場づくりを模索する。
調達から加工、組み立て、組み付け、セットアップ、調整、ティーチング、保守メンテナンスまで一貫で行える事業体制が強み。2024年春に新人7人を採用し、社員は現在約90人を数える。
製品の引き合いは堅調で、5月に増産対応のためヤマザキマザックのコンピューター数値制御(CNC)旋盤「QTE―200SG」を導入した。投資額は約1000万円。対話型入力で加工プログラムを簡単に生成でき、若手社員も業務に取り組みやすい。以前から同社の対話型システムを積極的に活用してきたという。
新たな発想による省力化の仕組み構築にも乗り出した。ファナック製の協働ロボットと連携し、ツールの付け替えを自動化する狙いで、5月に中村留精密工業(石川県白山市)のシングルタレット機「SC―200Ⅱ」を導入した。投資額は約2000万円。同機はファナックのCNC装置を搭載しており、同社の協働ロボットとは好相性だ。
こうした改善は機械加工現場のリーダー社員が率先して提案し、進めている。中村社長は「24年春に(地元の福祉型障がい児施設である)『大和久学園』から社員を1人採用したのもきっかけの一つ」と話す。ロボットシステムインテグレーター(SIer)のノウハウを生かし、幅広い人員が活躍できる現場を目指す。
他方で、設計段階から機械加工現場の負担を減らす仕組みも構想する。通常は2次元(2D)図面から手入力も行って加工データを生成するが、3次元(3D)図面データから自動で加工データの生成を可能にし、手入力の手間とヒューマンエラーを削減する考えだ。
まず24年内をめどに、自社設計品の3D図面データに寸法や公差を盛り込む社内標準仕様を定める。社外から届く2D図面を内勤部署の管理部で3Dデータ化することも検討する。中村社長は「IT化は完璧を求めると進まない。できるところから、どんどん着手する」としている。
(2024/7/3 12:00)
総合1のニュース一覧
- 20年ぶり新紙幣、「渋沢」ゆかりの埼玉沸く 催事・VR体験実施(24/07/03)
- デジタルで文化財鑑賞 TOPPANがミュージアム開設、共創促進(24/07/03)
- 「共助資本主義」実現へ討議 同友会、長野で夏季セミナー開幕(24/07/03)
- アヤラ産業、省力化・省人化推進 協働ロボとツール付け替え(24/07/03)
- PILLAR、フッ素樹脂継ぎ手製造を自動化 内製化拡大、大型品・複雑形状に対応(24/07/03)
- インタビュー/タグチ工業社長・田口幸作氏 動画で技術伝承、技術者集団へ(24/07/03)
- マクセル、全固体電池を開拓 新事業・M&Aに最大100億円(24/07/03)
- 住化、農薬事業を拡大 低環境負荷、欧米で商機(24/07/03)
- サステナ開示の行方(2)総会前の有報提出、強まる声(24/07/03)
- パナHD、自社専用の生成AI基盤開発へ 国内最大規模(24/07/03)
- 産業春秋/路線価上昇の裏にみえるもの(24/07/03)