20年ぶり新紙幣、「渋沢」ゆかりの埼玉沸く 催事・VR体験実施

(2024/7/3 17:00)

20年ぶりの新紙幣の発行が3日始まり、新1万円札に肖像が描かれる渋沢栄一ゆかりの埼玉県が沸いている。出身地の深谷市が福沢諭吉の出身地の大分県中津市と1万円札を縁に連携するなど地域活性化につなげようと積極的に動いている。

  • 東証で行われた新札引継ぎ式(中央が小島深谷市長、左から2人目が奥塚中津市長)

「今日を迎えることができて感無量。新札発行を機に渋沢翁と福沢翁の精神が多くの人に広まってほしい」。深谷市の小島進市長は感慨深げに語った。同市と中津市は3日、1万円札の肖像が福沢諭吉から渋沢栄一に引き継がれたことを記念し、東京証券取引所で1万円札の引継式を実施した。

中津市の奥塚正典市長は「両者とも日本の近代化の立役者で、両市民の誇り。今後は特に人材育成での連携を深めて、地域振興につなげたい」と新旧1万円札によるつながりの発展に意欲を示した。

今後、両市は「1万円札宣言」として、渋沢栄一と福沢諭吉の精神を広く発信していくほか、ゆかりのある企業や団体間で相互連携を図り、社会貢献につながる活動を実施する考え。小島市長は「例えば毎年7月3日を記念日として、シンポジウムを開いてもいい」と検討を進める。

  • 「渋沢栄一翁が目指した未来を語る」をテーマにトークイベント

埼玉県は3日、さいたま市浦和区の埼玉りそな銀行で新札発行を記念して「渋沢栄一翁が目指した未来を語る」をテーマにトークイベントを開催。渋沢栄一の玄孫(やしゃご)である渋沢健氏は「注目したのは新札の肖像の組み合わせ。北里柴三郎は医学を象徴、津田梅子は女性の活躍、渋沢栄一はビジネス。合わせてサステナビリティー(持続可能性)を象徴している」と話した。

大野元裕埼玉県知事は「渋沢が言っている寛容や社会的責任の精神は埼玉県民に受け継がれていることを今後もPRしたい」と述べ、埼玉りそな銀の福岡聡社長は「経営哲学の主柱は渋沢の道徳経済合一の精神。共感や思いやりを通じて社会価値を共に創り出したい」と強調した。 

  • 渋沢栄一の生家のVR体験のイメージ

また、県は「祝!新1万円札発行 渋沢・埼玉プロジェクト」の一環として県庁で6日に開催予定の「県庁七夕フェスティバルー栄一翁に願いをー」に、渋沢栄一の生家「中の家(なかんち)」(深谷市)を仮想現実(VR)体験できるシステムを出展する。NTT東日本埼玉支店が作成した。

「中の家」の居室内を撮影した映像を基に構造物を3次元(3D)デジタル化する技術により、VR体験ができるコンテンツを作成した。VRゴーグルを装着すると実際に邸宅に入った感覚を味わえる。ゴーグルを付けずに大型タッチパネルディスプレーで家の中を移動できるシステムも出展する計画だ。

(2024/7/3 17:00)

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