PILLAR、フッ素樹脂継ぎ手製造を自動化 内製化拡大、大型品・複雑形状に対応

(2024/7/3 12:00)

  • 流体の圧力抵抗を抑える半導体洗浄装置向けフッ素樹脂継ぎ手の新製品

PILLAR(旧日本ピラー工業)は半導体洗浄装置向けフッ素樹脂継ぎ手で世界シェア9割を握る。半導体製造工程の洗浄液は高温で劇薬を扱うことが多く、高い安全性が求められる。同社製品は独自のシール構造を持ち、「絶対に漏れない継ぎ手」として長年顧客の信頼を得る。近年はロボットや人工知能(AI)を活用して製造工程の自動化を進め、人の介在が少ない工場を目指している。

同社の継ぎ手はチューブの接合に「スリーブ」という部品を採用しているのが特徴だ。ナットの締め付け力に依存せず、低い締め付け力でシール性能を担保する。ナットによる結合が業界の主流だった2000年代初期に、独自の機構を取り入れた継ぎ手「スーパー300」は、同社が世界に名を馳せるきっかけとなった。

22年に金型製作専業の増子製作所(東京都品川区)を買収。金型製作から射出成形、洗浄、検査、組み立てまでの一貫体制を強化した。原材料のPFA(フッ素樹脂)は一般的な樹脂より高い成形技術が求められる。金型や射出成形を内製化し、難易度の高い大型成形品や複雑形状に対応できることが強みとなっている。

24年10月に全面稼働する福知山第2工場(京都府福知山市)は、複数個の部品を同時成形できる射出成形機やゲートカットの自動化など最新設備を備える。福知山第1工場(同)と合わせた生産能力は20年度比8割増を目指す。洗浄工程の無人化や検査・組み立ての自動化など、生産性と品質をさらに高める準備も進めている。

自動化の背景には「生成AIなどの発展で半導体が微細化する中、製品に求められる清浄度のレベルが上がっている」(手嶋一清執行役員)ことがある。人の介在を極力少なくし、微細な塵やゴミが入らなくすることが半導体の性能を左右する。

福知山第2工場には清浄度がクラス100のクリーンルームを設置。製品の清浄度に関わる、洗浄方法のプロセスを含めた洗浄液の開発室も構えた。次世代の半導体に対応できる体制で優位性を確立する。

(2024/7/3 12:00)

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