(2024/7/3 12:00)
タグチ工業(福岡市博多区、田口幸作社長)はプラント設備メーカー。1990年代に開発した、延びたり曲がったりする連続ベルトコンベヤーシステムで高シェアを握る。同システムは全国の新幹線トンネル工事などの土砂運搬で実績を積み、土木工事業界の新しい常識として認知されているという。田口社長に人材育成や製品づくりについて聞いた。
―人材育成の考え方は。
「会社の成長は人がカギだ。仕事を通じて社員は人間的に成長し、会社の成長につながる。設備やモノづくりでは大手が本気になってまねしてきたら差別化は図れない。そこで目指すのは『社員の差別化』だ。このことを常に念頭に置いている」
―具体的な方策は。
「2023年に『社内アカデミー』という取り組みを始めた。さまざまな教育のための動画コンテンツを制作し、アカデミーのプラットフォームとしてインターネットにアップした。若い社員は動画を見ることで基本の知識や技術を学べる」
―技術伝承については。
「理想は、若い社員が先輩エンジニアと現場に出て、機械や道具に触れることだ。しかし、先輩社員は多忙だ。若い社員が自分で勉強する意識も根付かせたい。そのための環境も整備したい。企業コンセプトに『圧倒的な技術者集団を目指す』という言葉を掲げる。例えば設計担当者も電機や工事のことが分かる。営業から設計への提案もしてほしい。動画で他部門の仕事を学ぶことも可能だ」
―モノづくりのこだわりは。
「使いやすい設備作りだ。会長の田口一生の口癖が『数字を追うな』。良い仕事をすれば数字は付いてくるという意味で、大事なことはもうけより顧客からの信頼という考え方だ。創業者の田口一幸が社是に掲げたのが『売誠買信(ばいせいばいしん)』という言葉。尊敬する実業家から教えられたと聞く。社員も日常的にさまざまな場面でよく口にする」
―6月に社長に就任しました。経営の抱負は。
「時代の流れに応じて変えるところは変えていく。ただ、経営理念に掲げる『従業員と従業員の家族の幸せ』と、社是の『売誠買信』の考えは、今後もぶれずに追求する」
(2024/7/3 12:00)
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