世界を変える、省エネ提案活発に TECHNO-FRONITIER2024 会場速報レポート【PR】

(2024/7/25 18:00)

 7月24日―26日まで東京ビッグサイト東館で開催された要素技術の展示会「TECHNO―FRONTIER2024」(主催=日本能率協会)。今年は第42回目と歴史を重ねてきた「モータ技術展」をはじめ22の専門展やパビリオンで構成されている。普段はモノづくりの黒子として表からは見えづらく、かつ縁の下で支える、多彩な要素技術が集結。省エネルギー提案や次世代スマートファクトリー関連など、未来に向けたイノベーション提案が会場内のいたるところで行われ、熱気にあふれた。

8月1日からは、オンライン展を開催(https://www.jma-exhibition.com/7all/lp_jp_tf/

省エネ型「IE5」モーター トレンド発信

  • 参加者からの活発な質疑がくり広げられたIE5セッション

 「インバーター駆動のIE5モータ活用がこれから盛んになる」―初日午前から行われた会場内の主催者セミナーは、最新の省エネルギー型「IE5」規格モーターにフォーカスしたセッションで幕をあけた。東京都市大学名誉教授の百目鬼英雄名誉教授のモデレートのもと、東芝産業機器システム、ABBのモーターメーカーと、自社開発のIE5モーター活用ポンプを提案する荏原製作所が参加。社会の電力使用量の半分以上を占めると言われるモーターの効率化が省エネ社会のために役立てられるかなど各社の開発の狙いを解説したほか、具体的な活用方法などで参加者から活発な質疑がくり広げられた。また主催者企画の「メカトロニクス企画展示」コーナーでは、IE5の実機を集めたコーナーが設けられ、多くの参加者を集めた。

  • IE5モータの活用事例を紹介したABB(左はロイック社長、右は高橋優介モーション事業本部IECLVモータ&NEMAモータ事業部長)

 ABBのブースでは、IE5モーターとポンプなどと組み合わせた活用事例を紹介。ロイック・ペコンドン・ラクロワ社長は、ABBがグローバルで企業連携により二酸化炭素削減を進めていくための非営利組織による活動「エナジー・エフェシィエンシー・ムーブメント」を紹介。「日本企業にぜひ参加してもらい、カーボンニュートラルを実現する未来に向けての進歩を加速させていきたい」(ロイック社長)と呼びかけた。

モータ製造のキーテクノロジー

 モーターを構成するキーテクノロジーにおいても、高効率化技術の提案が目立った。プロテリアルは、高磁束密度の磁性材料、高性能フェライト磁石など、同社独自のモーター関連の技術を披露した。

 またネクストコアテクノロジーズ(京都府宇治市)はアモルファス合金の打ち抜きプレス加工技術と積層モーターコアの量産技術による、モーターの大幅な高効率化を提案。アモルファス合金の材料開発を行うビザイム(京都市下京区)、量産を担うヒルトップ(京都府宇治市)、積層コアを製造する小松精機工作所(長野県諏訪市)が協力することで、アモルファス積層コアの量産化に成功した。

 金清裕和取締役は「電磁鋼板をそのまま置き換えられ、30―50%の電力低減を実現する。モーターの小型・高速化ニーズにも効率を落とすことなく応えられる」と力説。 エアコンやデータセンターのサーバー冷却ファンなどの引き合いが多く、今後はEVやエアモビリティー、ファクトリーオートメーション分野も狙う。

  • アモルファス積層コアの量産化を提案(ネクストコアテクノロジーズ)

  • 高密度磁性材料などモーター関連の多彩な商品群を披露(プロテリアル)

再エネ活用社会に向けて

  • DC/DCコンバーターと直列運転オプションユニット(TDKラムダ)

 再生可能エネルギー活用の拡大が進む中で、関連の提案も増加している。TDKラムダは1台の絶縁型のDC/DCコンバーター(直流昇・降圧変換部品)で電圧の昇圧と降圧を双方向で行える「EZAシリーズ」と、10月に発売予定の直列運転オプションユニット「同11K-SU」を紹介。再生エネ分野では大きな電圧が求められる中、ユニットにより最大6台を直列接続し最大1500ボルトまでの高圧側の電圧に対応できる。

 EZAシリーズは高さ1Uサイズで、高圧側電圧が320ボルト。これまでは昇圧側と降圧側にそれぞれのコンバーターが必要であった。また、再生エネを広域に活用する需要がみられ、ユニットによる高電圧化に対応した。

  • 再生エネ活用をワンストップで実現する製品群を紹介(STマイクロ)

 一方、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体で40%のシェアを誇るスイスSTマイクロエレクトロニクスは、産業機器向けに電源・モーターの効率化を提案した。大電流・高電圧化、省エネ化などのニーズに応える。

 SiC金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)は材料からインゴット、ウエハー、パッケージまで垂直統合を確立し、8インチウエハーの量産を実現して業界をリードする。2018年に米の電気自動車メーカーに採用され、量産効果で産業用の市場も拡大しているという。

 会場ではSiC・GaNモジュールやSMT32マイコンなど、電力変換から、蓄電、充電、利用まで再生エネ活用をワンストップで実現する幅広い製品群を紹介した。

電気系ものづくりYouTuberコーナーも人気に

 今回のTECHNO-FRONTIERでは、電気系ものづくりYouTuberのイチケンさんが電子計測機器メーカー担当者らと対談をくり広げる、「イチケンラウンジ」もひときわ人気エリアとなった。イチケンさんは今年、テクノフロンティアのアンバサダーにも就任しており、電子計測器メーカーや、パワー半導体関連など、モノづくりの各種コア技術や次世代計測器への発信に力を入れている。

  • イチケンさん目線で、製品や技術などの優位性を明らかにする

(2024/7/25 18:00)

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