社説/28年「技能五輪国際大会」 愛知招致で日本の技術力発信を

(2024/7/29 05:00)

厚生労働省は、2028年の技能五輪国際大会を愛知県に招致することを目指している。同大会を運営するワールドスキルズ・インターナショナル(WSI)が9月に開く総会で開催国を決める。モノづくり産業の集積地である愛知県での開催を実現し、日本の高い技能・技術力を世界に発信したい。日本の若者の技術水準のさらなる向上や、モノづくり人材の確保・育成を促す効果にも期待したい。

世界の若者が技能を競う国際大会は2年に1回開催される。参加国の職業訓練を振興し、青年技能者の国際交流を図るのが目的だ。24年はフランス、26年は中国で開かれ、28年の開催国が9月に決まる。49回目の28年大会は参加65カ国・地域以上、選手約1700人を想定する。

28年大会を愛知県に招致できれば、日本での開催は4回目になる。直近は07年に静岡県で開かれた。厚労省は愛知県と連携して招致活動や国内の機運醸成に取り組み、22日には名古屋市で機運醸成に向けたシンポジウム、25日には都内で「招致投票まで50日前イベント」を開催。モノづくり体験や、「人への投資」の重要性を語り合うトークセッションなどが行われ、参加者の関心を集めていた。9月の招致決定の朗報が待たれる。

「『技能』がつなぐ、持続可能な未来」をテーマに、持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する大会モデルを目指すという。環境負荷低減に努めるほか、徒歩圏内に選手用ホテルを確保するなどコンパクトな大会とし、女性や障がい者の技能を紹介するイベントなども開催する計画だ。多様な人材への投資の重要性を呼びかけ、人材育成が促される効果が期待される。

ITや人工知能(AI)が進化しても、技能・技術の重要度が変わることはない。一方、日本は少子化の進行による技能者の減少や、技能伝承の途絶が懸念される。次代を担う青年技能者の熱戦を国内の会場で、多くの子どもや若者に見てもらい、モノづくりに興味を持ってほしい。企業もまた人材投資の重要性を再認識し、企業価値向上への歩みをさらに加速したい。

(2024/7/29 05:00)

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