「厳しい意見いう人を近くに」メタウォーター社長・山口賢二氏

(2024/8/2 12:00)

小学生の頃、人体図鑑を読んで1冊そのまま暗記した。中・高校生になると、松本清張や山崎豊子の小説を読みあさった。社会風刺に触れ、大人の気分に浸った。

良い本と出会うと、自分の価値基準が作り込まれる。本で学ぶ歴史を「縦」とすると、実体験は「横」。この縦と横から判断基準ができてくると思っている。

『貞観政要』も判断基準の一つになった。唐の時代(7―10世紀の中国)、国を治めた太宗・李世民と名臣との問答を史家、呉兢が編さんした。

高校の授業で知ったが、当時は面白さが分からなかった。30歳の手前、仕事をしていると理不尽さを感じることがあった。迷いが生じ、思い出して読み返すと印象が変わった。

「三鏡の教え」が印象深い。一つ目は「銅の鏡」。人前に出る時、己を見て悪い表情をしてないか確認せよと言っている。二つ目は「歴史の鏡」。先人の過ちが教訓になるという教えだ。

三つ目が「人の鏡」。自分に厳しい意見を言ってくれる人を近くに置くべきであり、組織が正常化すると言っている。上の立場になると、自分の言うことを聞く人ばかりを集めたくなるのが世の常。不愉快な助言でも、間違いを指摘してくれる人が自分にとって価値がある。

管理職になる頃、堀田力著『おごるな上司!』を読んだ。出世すると、何をやっても許される、威張って当然と勘違いする上司が組織をダメにすると指摘していた。

また、自分は安全な場所にいながら部下を批判するだけの上司にも痛烈なメッセージを送っている。当時、仕事で苦労しており、文章で整理して書かれていて問題がクリアになった。20年以上前の本だが、現在にも通じる。管理職になったら読んでほしい。

今は推理小説から料理本まで読む。寝る前、読み出すとやめられなくなり、午前3時になっていることがある。刺激になる本と出会うとうれしい。

(2024/8/2 12:00)

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